金子勝氏の講演
7月22日(水)は、自治労の政策集会が東京で開催され出席しました。
この集会は、自治労自治体政策を決めるため開催されるものですが今年は記念講演として、慶応義塾大学経済学部教授の金子勝氏の「経済危機に自治体はどのように対応するか」とのテーマでの講演がありました。
金子勝教授はマスコミでおなじみの方ですが、私は、前の県政下で金子氏が特別職の報酬審議会が政務調査費を議員年収として換算した答申を行った委員の一員であり、同委員会の議事録を読む中で「この方は議員の実態を知らない」と断定していたことから、信用性がなく興味がありませんでした。
ただ、昨日に衆議院が解散された直後でもあり、今の日本の政治の在り方や将来展望について、金子氏がどの様に思っているのかは、確認したいと思い講演を聞きました。
金子氏は講演の中で、以下の様な要旨で熱弁を振るいました。
昨日衆議院は解散したが、麻生内閣(自民党)は「バラマキで埋蔵金を使い果たし、多額な借金をしてお城を明け渡して行く」と言われている。
野党は政権をとっても、何も出来なくなる状況を作った。
そして、政権交替した場合、すでに野党が掲げる政策について「財源の裏付けがあるのか」等の主張をしているが、自公は財政キヤンペーンを行おうとしている。
日米の経済対策も息切れとなってくる。
そして、その責任をIMFで経済成長率の評価が低い日本に矛先が向き、アメリカから、こんどは日本発の経済リスクが発生すると思われる。
中小企業への低金利な繋ぎ融資などの緊急経済対策により、辛うじて地域経済は維持されているが、この不況が2年も3年も続いたら地域秩序は崩壊する。
また、自治体財政も同様の状態に陥っていく。
この様な時、「政権交替」、「政権交替」と言って医療や福祉切り捨てを批判するだけではだめ。世界的にも日本でも大転換期に入っているとの認識を自覚し、これからの時代を担う政策を打ち出さないといけない。
政府の「骨太方針」の2005と2009を、インターネットで検索し比較して頂きたい。
全く正反対の内容となっている。
「骨太方針2005」では、構造改革路線により「民間で出来ることは民間で」行えば、新しい成長産業が生まれるとして経済政策を市場原理に委ねたが、新しい成長産業は生まれないばかりか国民の間だに格差が拡がった。
また、財政再建との理由で社会保障費が削減され、医療や介護、福祉が切り捨てられた。
しかし、「骨太方針2009」で全く正反対の方向を打ち出したということは、「骨太方針2005」以前から20年来行ってきた自民党の構造改革路線などの経済対策が失敗であったというであり、一つの時代が終わったということを意味している。
つまり、自民党が政策的に破綻しているのに、野党は批判ばかりしていてはダメであり、破綻した自民党の政策に替わる具体的な政策が必要であり、特に経済対策が必要である。
もし、今回の総選挙で野党が政権についても、経済対策など国民の期待を裏切る結果となれば、宗教団体が好きなことを主張している様に、政党政治は崩壊してしまう。
今回の総選挙が真の「チェンジ」なのか、「政党政治の崩壊」なのか、真剣に取り組んで欲しい。
日本がIMFで経済成長率の評価が低い理由は、新エネルギー産業でドイツがいち早く「グリーンニューディール政策」を打ち出し企業が努力して来たのに対し、日本の企業は企業の「既得権」に労組(電力・自動車・電気・連合)が荷担して「改革」を行わなかった結果である。
例えば、太陽光発電の導入でも個人家庭に補助を限定したのは、電力会社の利益のためであり、地球温暖化対策への抜本的な対策となっていないことが世界的には評価されていない。
地方公務員の皆さんも、日本が大転換期に入っていることを自覚し、ただ単に国の決めたことに追従した住民との接し方でなく、現実の住民生活に起こっている問題解決のために今、何をやらなければならないか、具体的な取り組みをして欲しい。
この講演を聞いて、私は「なるほど」と思いました。
しかし、この「大転換期」を認識し金子勝氏が先頭に立って新しい時代を創るのかと言えば、金子氏は単なる「評論家」でしかありません。
私としては、今後出される各政党のマニュフエストの内容を冷静に判断しながら、地方議会の中で出来うることを最大限努力したいと思いました。
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