Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

バッドグッドなひと

2010年07月18日 | 映画など
スコット・クーパー監督『クレイジー・ハート』を見る。
自堕落な生活を送るかつての人気カントリー歌手の生きざまを描く。
ジェフ・ブリッジスという俳優。そしてカントリーという音楽。
旅から旅への演奏が続くロードムーヴィー的展開。
これだけそろっていれば、面白くないわけがないというか。
アメリカ映画の良さって、こういうところなんだとあらためて思う。



たった一人でアメリカ国内を移動し、
酒と女にまみれながら
行く先々で現地のミュージシャンとライブをおこなう主人公。
たまたま取材を受けた
バツイチで子持ちの女記者(マギー・ジレンホール)とねんごろになる。
自堕落な生活とは決別して、彼女と一緒になろうとするが、
それまでの自分の生きざまのせいで、なかなかカタギになれない。
バッドだがグッドな男。アメリカ映画が最も得意としてきた主人公だと思う。

ジェフ・ブリッジズはアメリカを代表する映画俳優だけど、
なぜか日本では知名度が低い。渋すぎるからだろうか。
でも70年代から現在まで、この俳優がいなかったら、
アメリカ映画はずいぶんつまらないものになったと思う。
それはともかく、本作はこの俳優がこれまで演じてきた役を彷彿とさせる映画なので、
ファン(少ないだろうけど)にとっては非常においしい。

ボーリング場で演奏する前に、酒をあおるシーンは
コーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』だし、
アル中というのも『800万の死にざま』の酔いどれ探偵を思い起こさせる。
ミュージシャン役なのは『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』と同じ。
ロードムーヴィー的なのはイーストウッドと共演した『サンダーボルト』を思い出す。
タフガイでありながら、負け犬の哀愁も漂わせる。
そんな役を演じられるのは、このジェフ・ブリッジスだけだ。
(あと、強いて言えばニック・ノルティぐらい?)
と、シネフィル魂が炸裂してしまうわけで。

これまでの集大成的な役で、アカデミー賞を獲ったわけだし、
ここは素直におめでとうと言っておきたい。

ジェフ・ブリッジスはCDも出しているミュージシャンであり、
歌はそんなに上手くないけど、実に味わい深いボーカルを聞かせる。
T・ボーン・バーネットの音楽も素敵。
あと、かつての弟子で今は大物ミュージシャン、
という役を演じたコリン・ファレル。
この人の歌の上手さにもびっくりでした。







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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (北條)
2010-07-19 13:19:26
これは観るしかありませんな。観てきます! 『サンダーボルト』、ラストは泣きますねえ。
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Unknown (taco)
2010-07-19 22:53:37
「サンダーボルト」いいですねえ。
「ラストアメリカンヒーロー」とか「夕陽の群盗」
なんかと一緒に映画館でやってくれたら、きっと号泣です。
「バード★シット」「ハロルドとモード」みたいに。
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Unknown (denkihanabi)
2010-07-25 02:14:56
俺は「ファビュラスベイカーボーイズ」が好き。「800万の死にざま」って学生の頃に見て面白かったって思った記憶はあるのだが、どんな映画だったのか100%覚えていない。まるで飲んだくれた夜の会話みたいに。
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Unknown (taco)
2010-07-27 06:13:21
800万、自分もあまり覚えていないのですが、
ロザンナ・アークエットがメチャ色っぽかったような。
ハル・アシュビーの遺作ですな。
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