リチャード・フライシャー監督
「ソイレント・グリーン」を見る。
51年前のSFディストピア映画が
まさかのデジタルリマスターでリバイバル。
おお。人間のすべての感情、
喜怒哀楽が詰まっている映画ではないか。
つまりは、傑作ということです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/fe/150459ecdfebcd0c393e8f043c0117ab.jpg)
時代設定は近未来の2022年。
2024年のいま見ると、このディストピア観は
ほぼ的中していたと思っていい。
爆発的な人口増加と気候変動により、
人々は住む場所を失い、食料難となる。
ものすごい格差社会で、ごくごく一部の富裕層と、
喰うのにも事欠く人々がうごめく地獄絵図。
って、なんか今の世の中もこの映画通りになっている気がする。
食料難のため政府が配給する
ソイレント社という、政府と癒着しまくりの
大企業が製造する栄養食品に群がる人たちが
十把一絡げに扱われていく。人を人とも思わない
腐りきった富裕層どもが、若い女性を奴隷のように使役する。
パワハラもセクハラもモラハラもやりたい放題。
主人公の刑事を演じるチャールトン・ヘストンがいい。
殺されたソイレント社の幹部の男の調査をしつつ、
その男の部屋にある食い物をちゃっかりせしめて
「肉なんて喰うのは久しぶりだ」と悦に入り、
男が囲っていた美女もついでにモノにする。
ギラギラした悪人ヅラをするヘストンが
こんなに魅力的だとは。見直しましたよ。ほんと。
地獄のようなこの世界に愛想が尽き、
ヘストンと同居する老人が、安楽死ができる施設に行く場面が
本作の白眉。とんでもなく美しくて残酷な死を遂げるのだ。
老人を演じたエドワード・G・ロビンソン。本作が遺作のようで、
なんという映画を最後に残してくれたんだと嘆息。
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