Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

復興、そして腐敗

2013年09月23日 | 映画など
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督
『マリア・ブラウンの結婚』を見る。
これは傑作だなあ。退廃と官能がうずまくドイツの戦後史。お見事。



この何とも色っぽすぎるポスターを飾るのは、
主役のマリアを演じるハンナ・シグラ。
同じドイツの大女優、マレーネ・ディートリヒを
少々下品にしたような妖艶さ(褒め言葉です)がリアリティーあふれるというか。

ナチス崩壊直後に結婚したマリアは、
夫が戦死したとの知らせを受け、戦後は米軍専用のバーで働くことに。
経済力のある黒人兵士とねんごろになるが、
死んだと思われていた夫が帰還したと知るや、
マリアは黒人兵を撲殺してしまう。
それを見た夫はマリアの罪をかぶって服役。彼女は夫を愛しながらも、
西ドイツで商売するフランス人実業家と愛人関係となり、
ビジネスの世界でのし上がっていく。

マリアが信じるものは「愛」であり「お金」だ。
その両方をえげつない方法で勝ち取ろうとする
ドイツ女のたくましさに見とれてしまう。

戦後西ドイツの復興を象徴するかのように、
映画のほぼ全編を通して、建設現場の工事のノイズが鳴り響く。
復興はしているけれど、どこかイビツな戦後世界。
常に不気味な雰囲気を漂わせているところが、
この映画の真骨頂なのだろう。

いつも観客を不安に陥れることの多いファスビンダー映画だけど、
本作は珍しく構成がしっかりしていて、見応え充分。
妖艶さとしたたかさを体現した
ハンナ・シグラの素晴らしさに、ただ呆然とするのみ。



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2 コメント

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Unknown (denkihanabi)
2013-09-26 00:10:40
ファスビンダー、ほぼ見たことなかったけど、見る気になったぞ。いいな、映画。
映画の話しようぜ。
Unknown (taco)
2013-09-26 06:28:39
学生のときに見たっきりだったけど、
こんなに面白い映画とは思わなかった。
20歳そこそこのガキには到底理解できない
内容だったのではないかと。

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