Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

蓮っ葉と退廃

2010年10月12日 | 日々、徒然に
池部良さんが亡くなった。享年92。
大往生と言っていいのかどうかわからないけど、
誰よりも長生きして、誰よりも長い芸歴を誇った人だと思う。
三船敏郎や鶴田浩二より年上だったというのは驚きだし、
昨年亡くなった森繁久彌よりは年下だけど、現役感ははるかに上だった。

二枚目ではあったけれど、
どこかかげりのある俳優だった。
どんな役にも対応できる器用なところもあり、
だから時代が変わっても柔軟に自分の役柄を変化できたのだろう。

団塊の世代には、
圧倒的に『昭和残侠伝』シリーズにおける、
高倉健のお供をする兄貴分の侠客が支持されているようだ。
シネフィル的には、松竹ヌーヴェルバーグにおける
篠田正浩監督の『乾いた花』の屈折したやくざ役が人気の様子。

個人的には『早春』(小津安二郎監督・56年)と
『雪国』(豊田四郎監督・57年)の2本が割と好き。
共演はどちらも岸恵子。このやんちゃで蓮っ葉な女優さんに対して、
受けの芝居をする池部良さんは、のらりくらりとしながら、
ちゃっかりいい思いをしたりする役柄。
ずるいけど二枚目だからなあと納得したりして。

とにかく、決して出しゃばらず、
ひっそりと、しかも長いあいだ
日本映画をしっかり支えてきた名優だったのではないか、と。
ご冥福をお祈りします。


『雪国』。豊田四郎監督の名作ですな。とことん後ろ向きな映画ですが、その退廃ぶりがなかなか。

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