Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

トコトコ歩くつぶらな瞳

2024年01月25日 | 読んでいろいろ思うところが
高田晃太郎「ロバのスーコと旅をする」
(河出書房新社)を読む。
イラン、トルコ、そしてモロッコと
現地でロバを調達し、共に旅をした青年の記録。


著者の高田晃太郎さんは、
沢木耕太郎の「深夜特急」に影響を受け、
日本や世界を旅している人。
新聞記者の職を辞し、ロバと旅をするという
日頃、あくせく生きている身からすると
なんとも羨ましい生き方をしているなあ、と。
交通手段がそれほど発達していない中東諸国では、
ロバは使役動物としていまだ現役で、
重要なインフラのひとつらしい。そうなのか。

あの哀愁を帯びたつぶらな瞳。
シネフィルとしては「バルタザールどこへ行く」とか、
最近は「EO」なんて映画もあったけれど、
ロバという動物は、たまらなくそそるわけで。

さぞかし、のんびりとした
旅の記録かと思いきや、まさに波瀾万丈。
ロバと歩くイランやトルコ、モロッコで、
現地の人の温かさに触れながらも、
それと同じぐらい泥棒や強盗のたぐいなど、
人間の悪意にもさらされる旅となっていく。

読みながら、そうか。旅は人生みたいなものだな、と。
いいこともあれば、悲しいこと、苦しいこともある。
本書における旅の記録はそのまま人生の記録なのだろう。
「深夜特急」もそうだが、本書も旅をテーマにしながらも、
自分探しの旅とは無縁であることも心地良い。

著者の高田さんは、
現在、日本でロバを調達して旅をしているらしい。
そのうち、第二弾も書いてくれるでしょう。楽しみ。

コメント
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