Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

そッれだけならばまだイイが

2024年01月26日 | 日々、徒然に
「江口寿史展 ノット・コンプリーテッド」
@世田谷文学館に行く。
江口寿史という人は、イラストレーターであり、
日本のサブカルチャーの牽引者でもあるわけだけれど、
やっぱり紛れもないマンガ家だと確信する。


展示のコンセプトは、
ノット・コンプリーテッドというサブタイトル通り、
多岐にわたるこの人の仕事の一部分であり、
おもに「マンガ家」としての側面をクローズアップ。
マンガの原画が大量に展示されているが、
たとえば「ひばりくん」や「パイレーツ」の原画を
「作品」や「絵」として見るのではなく、
ふつうにマンガとして読める枚数がしっかり展示されている。
「トーマス兄弟」や「うしみつくん」などの
傑作短編は全編展示されているので、読みながら吹き出してしまった。
ギャグマンガ家として、とんでもない才能だとあらためて思う。

原稿を落とすことを芸にしたマンガに
かつては大笑いしたものだったけれど、
本人にとっては、ものすごい苦痛が伴っていたことが
伝わってくるというか。
山上たつひこの原作をマンガにする仕事で、
ふたりの往復書簡(FAX)のやりとりが公開されている。
一向に描かない(描けない)江口の苦悩と
山上の失望の文面を読むと胃が痛くなってきた。

その山上を始め、師匠だったちばてつや、
つげ義春、日野日出志、楳図かずお、吾妻ひでおなど、
先人マンガ家へのリスペクト。
ディーヴォやYMO、プラスティックスなど、
80年代の音楽への傾倒ぶり。マンガの扉絵を
レコードジャケットのように描いたのは
この人が先駆者だと思われ、そうした扉絵の数々も素晴らしい。

原画を読むだけでたっぷり2時間はかかる展示で、
できたらもう一回見に来たい。
展示は2月4日までか。うーむ。
コメント
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