Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

夢のあとさき・その2

2018年01月12日 | 日々、徒然に

出るんじゃなかったと思いつつ、

つい出てしまったのが運の尽き。

 

「もしもし」

「ああ、Kだけど、

 今度さ、俺が出る芝居があるんだけど、●日なんだけど」

「えっ…」

「客演するから来てよ」

「ちょっと…その日は…」

「はあ? なんで来れないの? 俺が出るんだよ」

「いや…都合があって」

「俺の方を優先できないの? なんで?」

 

自分の中で、何かが切れた音がした。

 

「あんたとは、つき合う気はないから」

 

そう言った瞬間、

 

「×●×■*※◆#■‼‼‼‼」

 

言葉にならない言葉で罵倒してきたと思ったら、

ブチッと電話を切られてしまった。

なんという災難。

かかって来たKの電話番号を

速攻で着信拒否にするが、募る不快感にどんより。

 

着信拒否にはしたけど、

いつまたコンタクトを取ってくるかと思うと、

なんとも嫌な気分になっていたが、

幸いなことに、以降は音沙汰がなくなった。

 

編集長にも

「あれはひどいですよね」と話していたのだけど、

 

「いや、Kに会う前に、なかなか連絡がつかなくて、

 奴の家に電話したことがあって」

「そうなんですか」

「そしたら、奴は不在で。代わりにお母さんらしき人が出て、

 やたらに『すいません、すいません』って言ってきて。

 えらく申し訳なさそうに」

 

どうやらKは、演劇業界ではかなりの悪名を轟かせているらしく、

ちらほら、その噂を聞くようになった。

実際に知り合いで、Kの被害に遭った人もいたりして。

こわいなあ、お近づきになりたくないなあと。

 

それから何年か経ったとき、

Kがとある演劇人を脅迫した事件があったらしく

彼は逮捕されたというニュースを知った。

懲りないなあ。逮捕されてもすぐ出てくるだろうに。

とまた嫌な気分になったことを覚えている。

 

それからさらに何年も経って、

さすがにKの存在も忘れかけていたとき、

つまり今である。なんとなくTwitterを眺めていたら、

フォローしている脚本家が、まさにKらしき人物のことを

つぶやいているのを発見。

 

思わずクリックしながら、いろいろネットを探っているうちに、

あるひとつの事実らしきものが浮かび上がってきた。

 

Kはすでに死んでいる、と。

 

つづく(たぶん)

 

 

 

 

 

 

コメント
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