Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

深い深い絶望のあとに

2016年04月05日 | 映画など

深田晃司監督「さようなら」を見る。

見ていると、たまに心も身体も持って行かれる映画があるけれど、

本作もまさにそんな感じ。なんかすげえ映画を見たというか。

 

 

平田オリザの戯曲の映画化で、

原発事故で人が住めなくなった近未来の日本が舞台。

主人公は南アから難民としてやってきたターニャと

お付きのアンドロイド・レオナ。

不治の病にかかっているらしいターニャのもとに、

彼女の恋人や、暗い過去を持つ女友達がやってきて、

ささやかな交流が描かれる。

 

山間にぽつんと建つターニャの家が

なんとも荒涼感あふれていて、彼女の心の中もきっとそうなのだろう、と。

レオナはそんなターニャの世話をしながら、

若山牧水やランボオの詩をそらんじたりして、

見る者に、生きることと死ぬことの意味を突きつけてくる。

そんなことを思いながら見ていると、

現実世界に戻って来られなくなりそうだ。

 

「ほとりの朔子」でエリック・ロメールのような

洗練された会話劇を撮ったと思ったら、

今度はタルコフスキーのような詩的なSFをものにした深田監督。

かなりすごい才能かも、とやさぐれたシネフィルは感心しきりなのです。

 

 

 

 

コメント (5)
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