Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

誇りと殺戮

2013年05月05日 | 映画など
ウェイ・ダーション監督『セデック・バレ』を見る。
1930年、日本統治下における
台湾少数民族の反乱を描き、
上映時間は1部と2部を合わせて4時間30分という
台湾映画史上、最高額の制作費をかけたまさに超大作。



台湾の映画と言えば、80年代から90年代にかけ、
ホウ・シャオシエンやエドワード・ヤンといった、
世界的な名監督が輩出したのだけど、
それはきっと世界中に点在している
シネフィルを喜ばせただけのような気がしている。

本作は台湾の少数民族が、
統治している日本軍に反旗をひるがえした事件の映画化であり、
日本の剣豪モノや、中国の剣劇とは異なり、
敵の首を斬るようなエグい描写が多いというか。
だが剣で戦う場面は舞踏のようにも見えるので、スタッフリストを見たら、
製作にジョン・ウーの名が。なるほど。
まぎれもない台湾の血の歴史のエピソードだし、
本国の観客の琴線に触れたのも容易に想像できる。
実際、大ヒットしたみたいだし。
こういう映画こそ、多くの人の心を掴むのだろう。

日本軍が悪者だけど、統治する側の論理も
それなりにちゃんと描かれているので、
見ていてさほど居心地は悪くない。
そして、人間の誇りを取り戻すための物語は、
ナショナリズムやイデオロギーを越えた普遍性を持つようだ。




コメント (4)
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