太郎ちゃんと梵鐘

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さすが、「うむ」と言ったきり。
じいっと見ていたが、「これは大変な仕事です。
すばらしい彫刻だと思いますが、
これから音を出すというのは、どうも。」
私も息を詰めて、彼の顔をにらんで、
「何とか、なりませんか。」
ながい間、黙って眺めたままだった。
「とにかくやらせて頂きます。私としても一世一代です。」
おとなしい人が、頬を紅潮させ、眼を光らせた。
これでいいんだ。彼も決心したんだ。
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岡本太郎 美しく怒れ 角川書店より

涙が出た
のですよね。
この一小節に。
とてつもなく
感動をした
というか
共感した
というか。

太郎ちゃんとも
釣鐘師さんとも
どちらとも共鳴した
というのでしょうか。
静かな
でも
熱量の多い共鳴です。

名古屋にある
太郎ちゃんの梵鐘の製作の一コマ。
けれど
イノベーションというのは
こんなところから始まる
のではないでしょうか。
この後の桑名の釣鐘師さんの仕事を
未だ見てはおりませんが
今までとは
なにか違う大きな力
を得ているのは間違いなく。

人を繋ぐ
というのは
こんな熱量の交換をしている
媒体
なのだと思うのです。
それは
自らの熱量があってこその
交換。
そして
イノベーションが起こる
のですね。

人を繋ぐのって
やっぱり
人の魅力ですよね。
また
太郎ちゃんに教えてもらいました。

美しく怒る太郎ちゃんは
きらきらかがやいていたでしょうね。
また
青山のアトリエに行ってみますか。