職人たちの徒然草

新潟県・燕市在住の職人ヤスさんと、東京都・杉並区在住の職人ナガさんの交換?日記です。

レディメイド

2007年03月22日 | ヤスさん日記
新潟は土砂降りの大雨です。
ひと雨ごとに暖かくなること
やっと本来の春に向かって
少しずつ歩んでいるようです。

彫鍛金において創るということは
材料の中にカタチを発見して
それを紡いでゆくことような気がします。
書家が紙の上に浮かんだ文字を
しっかりとなぞるが如く。
彫刻家が木材の中から
傷付けないように掘り出すが如く。
大工が100年後200年後の
完成図を見据えているが如く。

カタチはもうすでにそこにあるような、
それに巡り合う為にはどれほどのことが必要か。
ぐるぐると走り回ってみて
そこにあるのはわかっていても
見えそうになっては
消えてゆくこともしばしばなのです。
もうそこにあるのでしょうがねー、
なかなかに届かないものです。

すでにそこにあるものを作品にする
レディメイドというアート。
私の今最高のレディメイドといえば
仕事で使っている
竹の柄の入った金槌
何年も使っていると表面がこすれて削れ
えもゆえぬカーブがかかっているのです。
手先で感じるほのかな甘み
官能的な仕事道具なのです。
ナガさんはどんな
ものがあるのでしょうね?


時にはザーザー雨の中を
弾丸のように突っ走ってみると
トンネルを抜けるときのような、
カラダとココロの位置を
再確認できるような、
そんな爽快感が味わえます。

濡れたアスファルトの香りが
妙に鼻をくすぐる夕暮れです。
コメント (2)
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