(前回からの続き)
前述のように、電気自動車(EV)メーカーの米テスラ・モーターズは、同業他社との競争では、BYDをはじめとする中国勢に世界シェアをどんどん奪われ、トヨタ自動車を筆頭とする既存のエンジン車メーカーとの競争でもEV特有の課題(充電インフラの不足や価格の高さなど)の克服がいまだにできず、となって、客観的に見ても凋落トレンド入りといった印象です。唯一の強み?はホームの米市場・・・でしょうが、先述のとおり、それもまもなく始まる?BYDのメキシコ新工場からの輸出攻勢等で軽く崩されることでしょう・・・
まあ・・・だからこその米政権のG7における中国に対する「過剰生産」批判やメイド・イン・チャイナへの関税強化なのでしょうが、そうでもして中華EVの流入を阻止して保護してやらないとテスラ車(含むアメ車全体)はホントに絶滅しかねない(existential threat)・・・くらいに「弱い」―――魅力がない、(くせに)価格が高い、って総合的な競争力がない―――ことを、ほかならぬアメリカ人自身が分かっているということですね(って、ずっと前から)・・・
で、そんなテスラ・・・に代表されるアメ車の弱さですが、それはつまり米製造業(メイド・イン・USA)全体が「弱い」―――保護してやる/独占(寡占)の地位を許容してやる、としなければ、競争的な市場では(他国企業に)まず勝てない―――ということと同義であるのは、こちらの記事を含めて何度も指摘済み。であれば、その交換券である通貨ドルも、本来は「弱い」し「競争的な市場ではまず勝てない」となるわけです。にもかかわらず、いまドルが「強い」(ドル高な)のは、「保護してやる」から、つまり、本ブログでクドいほど述べているとおり、日本が(日銀の現行金融政策で本邦金利を超低め誘導して日米金利差「米>日」を拡大してマネーがドルに向かうようにすることでこの価値を下支えするかたちで)ドルを「保護」しているからにほかなりません。そこは、モノ(自動車)とマネー(ドル)の違いこそあれ、「弱い」はずのテスラが「強い」(自動車業界では売上も販売台数も世界一のトヨタ自動車を上回って時価総額ではトップ!?)・・・かのように見えている?のと同じです・・・って、「保護」してやらなければ簡単に崩れちゃう、ってことです・・・し・・・
・・・「保護」すればするほどますます「弱い」ってことになっていくのも、また同じですね。ようするに、競争にさらされないように甘やかせば手を抜く・・・ってテスラ(アメ車)であれば(中国車との競争がユルいから)新モデルの開発・投入等を怠る、米連邦政府であれば(ジャパンマネーがファイナンスするから/日銀のおかげでマネーが日本に帰らない[アメリカからマネーが日本へ「キャピタル・フライト」しない]から)財政リストラ等を怠る・・・から、いずれも---メイド・イン・USAもドルも---結局は弱体化していく、といった具合です・・・