首相在任期間が(憲政)史上最長であることより、史上最大の「マイナス成長」をもたらし・・・てしまったことのほうが、はるかにスゴいと思いますよ。だってそっちは日本ではなく世界の歴史の記録&記憶に残るくらいのインパクトなのだから・・・
ご存じのように安倍晋三首相が退任を決断されました。現在の予定では、いま行われている自民党の総裁選、臨時国会での指名選挙等を経て、今月の17日には新首相が指名されるとのことですから、安倍氏の首相としての任期はそれまで、ということになりそうです。現在の安倍政権は第2次に当たりますが、これ2012年12月にスタートして現在まで7年9か月ほども続いたことになり、先月24日、安倍首相の連続在任日数が、佐藤栄作元首相を抜いて歴代最長となっていました。なお第1次(2006/9~2007/9)と合わせた通算の在任日数でも同最長となっています。
といったことで日本国民、そして安倍氏ご本人も、この首相を務めた期間の長さにフォーカスしている感じですが、安倍政権は、それよりも、その間に、その政策によって、わが国をどのように導いたか、で評価されるべきでしょう。それはつまり、安倍氏の名前を冠した「アベノミクス」が日本をどうしたか、そして、それは、わたしたちにとって恩恵の多い政策だったのかどうかが重要だということで、それに比べれば、首相の在任期間の長短なんて(失礼ながら)どっちでもいい―――わたしたちの生活になんら関係ない―――ことでしょう。逆に、もし利益が乏しい政策であれば、かえって長い分だけ、損害の規模が大きくなったり、沈滞の時間も多くなったり、となりかねないわけで・・・
さて、アベノミクスとは、ざっくり言えば「円安誘導」であり、実質的には日本銀行の超緩和的な金融政策「異次元緩和」(現在の正式名称は「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)と同義です。その内容等については既述なので繰り返しませんが、もしこれが日本経済を力強く成長させ、わたしたちの賃金(実質賃金)とか資産額を増やしてくれているのなら、国民はこれに高い満足度を与え、その旗振り役である安倍首相を大いに称えることになるわけですが・・・
・・・って、「アベノミクス」はまったくの失敗だった、というより、こちらの記事で書いたとおり、はじめから間違えていた、と言い切ってOKと思います。そのあたりは、こちらの記事でご紹介した以下の表(アベノミクス開始前年2012年と2018年とのドル換算GDP比較)が雄弁に物語ってくれています。もしそうでないのなら、(一部の資源国を除いて)アベノミクス開始後の日本が史上最大レベルの―――けっこう大きな国のGDP総額に匹敵する1兆数千億ドルもの―――超マイナス成長に陥るはずはないのですから。これ要するに、安倍首相らは、アベノミクスで実現させた円安ドル高によって、本邦GDPを成長させる・・・どころか、逆に安倍政権前(民主党政権時代!)よりも2割以上も失わせた、ということであって・・・
上記からすれば、安倍首相の在任期間の長さとは、わが国をこうして経済的に沈没させ続けた期間の長さであるともいえるわけです。これ、はたして誇れることなのか・・・?