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【インフレ政策に手を染めたら中銀の存在意義は失われる】中央銀行はインフレファイターであるべきだ②

2019-06-11 00:01:43 | アメリカ

前回からの続き)

 金融マーケットはともかく、ドナルド・トランプ大統領が何度も繰り返し利下げを督促するってことを、米連邦準備制度理事会(FRB、米の中銀)が自身の「独立性」に対する圧力に感じないことはないでしょう・・・(?)

 中央銀行は、金融政策や通貨発行等に関して、政治権力等の介入が及ぶことのない独立した地位を与えられるべき―――これ、いまの経済・金融の世界では各国共通の理念だと思います。では、なぜ中銀は独立してあるべきとされるのか、といえば、そうしなければ権力者が中銀に替わってその権限を乱用しかねないから。具体的には・・・たとえば、当該権力者の政府が人々の歓心を得ようとバラマキ用の通貨を無制限に増発したりするおそれがあるわけです。トランプ大統領が欲する利下げなども、そう。もし政治家が金融政策の決定権を持ったら、景気がちょっぴりさえない程度でも派手な金融緩和が実行されかねません・・・

 こうした本来の中銀の権限を政治家らが好き勝手に行使した結果、必然的に起こるのが・・・最悪の経済現象である(激しい)インフレです。これを招いてはいけないからこそ中銀には、インフレに頼りがちな政治からの「独立性」が必要とされる、要するに通貨をやたらと発行しないような政策運営をすることが強く求められるわけです。その意味で中銀の本来の姿はインフレファイターといえます。これ、「ドイツ連邦銀行」(ドイツの中央銀行:ブンデスバンク)の異名ですが、日銀やFRBも含めた世界の中央銀行はすべて、本質的にインフレファイトの使命を負っています。逆にいえば、万一これら中銀が意図してインフレを起こすような政策に手を染めたら、その時点でその中銀の存在意義は消滅します。それなら―――インフレ抑止のミッションを中銀が放棄するのなら―――中銀に替わって政府が政府紙幣をバンバン発行すればよい、という話になるからです・・・

 上述のように、米トランプ大統領は、この中銀の「聖域」に政治家として踏み込もうとしているように見受けられます(?)。同氏はFRBに明確に利下げを要求する・・・どころか、さらなる金融の緩和つまりQE再開に対する期待感をはっきりと表明しています。実際、先月中旬には国内企業の工場を訪問した際に、2008年のリーマン・ショック直後のFRBによる緊急的な債券購入を引き合いに出しつつ、少々のQEwith a little quantitative easing)があれば経済成長率は5%に達するだろう、と述べています。加えて市場のほうでも、前回ご紹介のように株価上昇、そして短期金利が急降下したように、この大統領の意向に同調するかのように(?)金融緩和を織り込んだような動きが見らます。これら、FRBとしては、外堀が埋められつつあるな、と感じるところでしょう・・・

(続く)

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