スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

お~いお茶杯王位戦&書斎

2024-08-30 19:12:33 | 将棋
 27日と28日に有馬温泉で指された第65期王位戦七番勝負第五局。
 藤井聡太王位の先手で渡辺明九段の雁木。先手が積極的に仕掛けていき,後手が反撃。1日目から派手な手の応酬のあるとても面白い将棋で,後手が攻め切れるかどうかが焦点という展開に進みました。
                            
 まだ一山ありそうな局面ですが,ここで29分考えて先手が見通しをつけました。
 ☗3九角と打ちます。飛車と銀の両取りですから,5八の金を飛車で取るか銀で取るかの二者択一。飛車で取った場合は手番が先手に渡ることになりますがそれを嫌って☖5八銀不成と銀の方で取りました。これだと先手は☗2八角と飛車を取る一手。後手の☖6九銀不成もこの一手です。
 これは取ってしまうと詰めろが掛かって先手の負けです。なので☗8八王と逃げるのですが,これで9六の角が働いてきて先手玉に詰みはありません。なので☖6八金と打って詰めろを掛けました。
 これに対して☗3一飛と王手をするのが決め手。☖4一金は仕方がない合駒ですがここで金を使ってしまうと先手玉が詰みません。悠々と☗2一飛成と桂馬を取って先手の勝勢です。
                            
 一局を通して先手の指し回しが冴えわたったという内容の将棋でした。
 4勝1敗で藤井王位の防衛第61期,62期,63期,64期に続く五連覇で5期目の王位です。

 コレルスJohannes Colerusはウェルフェの家でスピノザが借りていたのは二階の奥の部屋といい,その部屋を自身の書斎と表現しています。要するにスピノザはその部屋だけを使い,家屋のほかの部分をウェルフェが利用していたということになりますが,コレルスのいい方だと,家屋の全体をコレルスの一家で使用し,スピノザが借りていた部屋を自身の書斎として利用しているというように読めます。家屋の全体をコレルスの一家で利用しているのであれば,そこにウェルフェが住む場所はありません。ですから少なくともコレルスとウェルフェが同じ家屋に住んでいたということはなかったと僕は解します。ということはこの時点でウェルフェはこの家を売却してどこかに引っ越していたか,そうでなければすでに故人となっていたかのどちらかでしょう。だから僕はナドラーSteven Nadlerの説よりも渡辺の説の方が正しく,この時点でウェルフェは死んでいたのであって,コレルスがウェルフェからスピノザについて何かを聞き取るということはできなかったと考えるのです。
 スピノザが部屋にこもっていて外に出ることがなかったということは,別にウェルフェに聞かなくても,近辺の住人に聞けば分かることでしょう。そもそもスペイクの家はこの近くだったのですから,スペイクはスピノザが自身の家に間借りするようになる前からスピノザのことを知っていたかもしれないのであって,そうであればスピノザのウェルフェの家での生活がどのようなものであったのかということも知っていたかもしれません。また,ウェルフェとスペイクが知り合いだったという可能性も否定できないのであって,スペイクがウェルフェからスピノザのことを聞いていたということもあり得ます。『ある哲学者の人生Spinoza, A Life』でも,ウェルフェの家とスペイクの家は近隣といわれています。
 これらのことから僕は,たとえウェルフェがすでに死んでいたとしても,その家でのスピノザの様子をコレルスは知り得たと思うので,『スピノザの生涯と精神Die Lebensgeschichte Spinoza in Quellenschriften, Uikunden und nichtamtliche Nachrichten』で書かれていることが正しいとみていますが,ナドラーの説を絶対的に否定できるというわけではありません。渡辺が補足していることも絶対に正しいとはいえないのです。
コメント
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