スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ジュライカップ&方法論の導入

2022-07-10 19:07:08 | 海外競馬
 日本時間で今日の未明にイギリスのニューマーケット競馬場で行われたジュライカップGⅠ芝6ハロン。
 キングエルメスは少し出負けしましたが,すぐに5番手付近まで位置取りをあげました。そのまま進んでいきましたが,徐々に位置は下がり,とくに坂の上りに入ってからはレースそのものから脱落。勝ち馬からおよそ7馬身半くらいの差で11着でした。
 レースぶりそのものはちぐはぐな印象でしたが,ヨーロッパのレースは総じて日本のレースよりも発馬直後のラップは上がらず,このレースもそうなりましたのでその影響があったものでしょう。全体的にみると,このコースでこのメンバーを相手にすると実力そのものが足りなかったという印象です。ただ,レースに参加できなかったというわけではありませんでしたから,条件が変わればもう少しやれる可能性はあるでしょう。

 君主に進言する人間の数が10人であるより20人である方がよいのが原則であるのは,その他の条件をまったく考慮に入れていないからです。いい換えれば,その他の条件がすべて一致するのであれば,君主に進言する人間の数が,多ければ多いほどよいことになるでしょう。しかしその他の条件がすべて一致するとは限りません。そこに方法論が入り込む余地があるのです。
                                        
 君主Aが統治する国家Imperiumは,Aに進言する人間の数が10人で,君主Bが統治する国家は,Bに進言する人間の数が20人であるとします。しかし,君主Aの国家では,進言する人間に任期があって,1年ごとにひとりずつが入れ替わり,さらにその任期を終えたら再任されないというルールを採用しているとします。一方,君主Bの国家では任期がなく,終身雇用で,その役職に就いている者が死んだときに入れ替わりが生じるというルールになっています。このふたつの国家を比較すると,ある決まったときだけをみれば,君主Bが統治する国家の方が進言する人間の数が多いのですが,長期的な観点からみれば,君主Aが統治する国家の方が進言する人間の数はトータルで多くなります。このルールの下に国家が継続していくとすると,君主Aが統治する国家では10年が経過すれば進言する人間はすべて入れ替わりますが,君主Bが統治する国家では,10年で10人が入れ替わることは考えにくいでしょう。したがってそれぞれの国家でこのルールが採用されているなら,国家が継続していけばいくほど,君主Aが統治する国家の方が,進言する人間の数は多くなるのです。ですからこの場合は,君主Aが統治する国家の方が,君主Bが統治する国家より,スピノザが示す政治倫理に適した国家体制であるということになるのです。
 ここではふたつの君主制国家を比較しました。しかしこのことは,これらふたつの国家が共に君主制であるという理由によって成立しているわけではありません。仮に貴族制であれ民主制であれ,実質的に政治権力を行使する人間が入れ替わりにくくなっているような場合は,君主Aが統治する君主制の国家よりスピノザの政治倫理にそぐわない場合もあり得るのです。
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