スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

埼玉新聞杯埼玉新聞栄冠賞&破門の効力

2016-10-19 19:18:12 | 地方競馬
 第26回埼玉新聞栄冠賞
 まず先頭に立ったネオザウイナーを発走後の3コーナーで外から交わしたベルゼブブの逃げ。この先行争いがあった分,3番手は4馬身くらい離れてケンブリッジナイス。さらに2馬身差でタイムズアロー,また2馬身差でハーキュリーズと続き,あとはさほど差がなく,クラージュドール,トキノエクセレント,ドラゴンヴォイス,トーセンハルカゼ,アウトジェネラル,ヴァーゲンザイルの順で追走。1周目の正面でペースは落ち着いたのですが,ここで3番手のケンブリッジナイスが差を詰めていくとそのまま2番手に上がり,向正面に入るあたりでベルゼブブに並び掛けていくことに。3番手に引いたネオザウイナーと単独4番手のタイムズアローとの差が7馬身くらいまで開きました。当然ながら超ハイペース。
 ケンブリッジナイスが向正面途中でベルゼブブを交わすとベルゼブブもしばらくは食い下がりましたが,3コーナーを回ると後退。2番手にネオザウイナー,3番手にハーキュリーズが内から上がり,外にタイムズアロー。さらにクラージュドールとトキノエクセレント,大外を回ってアウトジェネラルも接近。直線に入ると絶好の手応えだったのがタイムズアロー。そのままケンブリッジを交わして抜け出し,優勝。外を回った馬の末脚が優り,1馬身半差の2着にはクラージュドール。半馬身差の3着にアウトジェネラル。
 優勝したタイムズアローは2月の報知グランプリカップ以来の南関東重賞2勝目。この馬は重賞で入着する力があるのでここでは力量上位。早く抜け出すと自分から全力で走るのをやめてしまう面があるようで,乗り難しいタイプであると思いますが,直線がさほど長くないのはこういうタイプにはプラスなのでしょう。58キロを背負って勝つことができたのもこの馬にとっては収穫であったのではないかと思います。父はタイムパラドックス。母系祖先はセレタ。3代母に1985年の新潟3歳ステークスを勝ったダイナエイコーン
 騎乗した船橋の西村栄喜騎手は荒尾競馬の廃止に伴う南関東移籍から約4年10か月で南関東重賞初勝利。管理している船橋の川島正一調教師は埼玉新聞栄冠賞初勝利。

 『宮廷人と異端者』では,スピノザとプラドが同時期に破門を宣告されたとき,スピノザに対しては年金を贈るという提案がなされたけれども,プラドにはそうした配慮がなされた形跡がないとされています。それは事実かもしれません。ですがスチュアートはそのことを,ユダヤ人共同体はプラドよりもスピノザをシナゴーグから失いたくなかったからだという主旨の説明と結び付けています。僕はその解釈については疑念を抱いています。
                                     
 破門の宣告があったとき,メナセ・ベン・イスラエルMenasseh Ben Israelはイギリスに滞在中でした。つまりそこで行われたことには関与していなかったと考えられます。ですがメナセが渡英前にファン・ローンJoanis van Loonに語ったところによれば,その時点ですでにメナセはスピノザが破門宣告を受けないように努力していたことを窺わせます。そして同時に,もしスピノザに破門を宣告した場合には,スピノザはその宣告を受け入れて,シナゴーグから退去してしまうのではないかということを憂慮しています。つまり破門宣告それ自体が,スピノザがシナゴーグを離脱しないことに効力を発揮しないのではないかとメナセは考えていたことになります。
 メナセはそのことを,それ以前にあったウリエル・ダ・コスタUriel Da Costaに対する破門と比較して語っています。そしてスピノザは破門の宣告を受け入れるのではないかとメナセが考える理由として,ふたつの点を挙げています。ひとつは,スピノザはダ・コスタとは異なり,多少なりとも金銭的な余裕があるということです。そしてもうひとつは,スピノザはダ・コスタとは異なり,ユダヤ人以外のオランダ人の中に少なからず知り合いが存在するということです。ローンの記述だと,自由主義的なオランダの学者と親交を結んでいる,と読解する必要がありますが,具体的にどういう人物が想定されているのかが不明なので,ここでは広くユダヤ人ではないオランダ人だとしておきましょう。
 ここでメナセが示しているスピノザとダ・コスタとの比較は,そのままスピノザとプラドとの間に適用できると僕は思います。そしてそれは,破門時のシナゴーグの指導者たちにも共有されていたのではないかと思います。
コメント
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