スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

秋華賞&対立の見方

2016-10-16 19:12:04 | 中央競馬
 第21回秋華賞
 先手を奪ったのはクロコスミア。ネオヴェルザンディ,ウインファビラス,ダイワドレッサー,エンジェルフェイスと概ね1馬身ずつの間隔で続きました。この後ろにパールコードがいましたが,掛かったカイザーバルがその外あたりまで上昇。ここから少し離れてキンショーユキヒメ。また少し離れてヴィブロス。フロンテアクイーンが続いてその後ろにジュエラーとレッドアヴァンセ。その後ろにミエノサクシードでビッシュはゲッカコウとほぼ同じ位置でその後ろ。前半の1000mは59秒9のスローペース。
 直線入口手前ではクロコスミア,ダイワドレッサー,ネオヴェルザンディの3頭が雁行。ウインファビラスは内を回って直線ではクロコスミアとダイワドレッサーの間に。これらの外からカイザーバルが伸びてクロコスミアを交わすとさらに外からパールコードが先頭に。それをまた外から交わしたヴィブロスが優勝。パールコードが半馬身差の2着。カイザーバルがさらに半馬身差で3着。
 優勝したヴィブロスは春はクラシックを目指したものの重賞2戦は惨敗。3月以降は休養して7月に復帰すると500万条件でしたが4馬身差の圧勝。前走の紫苑ステークスで不利がありながら2着に食い込み出走権を得ていました。血統面の裏付けがあった馬ですので,この戦歴でも好勝負になるだろうとみていました。今日はその素質が開花したといったところ。トップに立ったとはいえませんが,牝馬路線ではトップクラスとして長く活躍できるものと思います。父はディープインパクト。祖母はハルーワソング。全姉に2012年のクイーンカップ,2013年のヴィクトリアマイル,2014年のヴィクトリアマイルを勝ったヴィルシーナ。半兄に今年の阪神大賞典を勝っている現役のシュヴァルグラン。Vivlosはギリシアの地名。
 騎乗した福永祐一騎手は高松宮記念以来の大レース制覇。秋華賞は初勝利。管理している友道康夫調教師は日本ダービー以来の大レース制覇。秋華賞は初勝利。

 『スピノザの生涯と精神』のリュカスJean Maximilien Lucasによる伝記では,スピノザは破門を宣告されたときに,ユダヤ教指導者たちが自分に強制していること,すなわちシナゴーグから退去してユダヤ人との接触の一切を断つことは,自分自身でやろうと思っていたことにほかならないという意味のことを言ったとされています。このことばは,自分の退去は太古のヘブライ人のエジプト退去よりも罪のないものであろうと思っているという,宗教的な文脈に接続しています。
                                     
 リュカスは親スピノザという立場で伝記を書いています。ですからスピノザを英雄にまつりたてる文章を書く動機は確実にあります。なのでそのときに本当にスピノザがそう言ったかは疑わしいと判断しなければならないでしょう。ですが『ある哲学者の人生Spinoza, A Life』では,それが真正なスピノザのことばであるかどうかは別に,これがそのときのスピノザの本心に近いものを描写していると判断して構わないというように結論されています。すでにいったように,ナドラーSteven Nadlerはユダヤ教の指導者たちがスピノザをシナゴーグにひきとどめておくため最大限の努力をした可能性がきわめて高いと考えています。したがって全体的にみればナドラーもまた,対立において和解を求めたのはシナゴーグの方であり,しかしスピノザの方ではそれを受け入れなかったのだと判断していると解して差し支えないでしょう。ただ,そういう最大限の努力というのは,とくにスピノザが相手であったから行われたものではないということです。いい換えれば相手がだれであれ,ユダヤ人であるならアムステルダムのユダヤ人共同体は,その人を共同体の内部にとどめるような努力を怠らなかったということです。ですからユダヤ人指導者たちのこの態度は,スピノザの案件が個別的なものとして把握されていたというより,もっと一般的な事象として把握されていたと考えておく方がよいかもしれません。しかしスピノザにとっては当然ながらこれは個別的な案件でしかあり得ませんから,対立自体の把握が,指導者たちとスピノザとの間では異なっていたとみることもできます。そしてこの見方は,案外に正しいものかもしれないと僕は思っています。
コメント
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