スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典マイルチャンピオンシップ南部杯&論理的欠陥

2016-10-10 19:41:16 | 地方競馬
 第29回南部杯。ヒミノコンドルが出走取消で13頭。
 逃げたいという馬が不在だったようでなかなか隊列が定まらなかったのですが,逃げることになったのはロイヤルクレスト。内の2番手にホッコータルマエで外の3番手にコパノリッキー。この後ろはアスカノロマン,シークロム,ベストウォーリア,ラテンロックの4頭がほとんど一団。1馬身ほど離れてレーザーバレットが追走。前半の800mは46秒1のミドルペース。
 逃げたロイヤルクエストはずっと最内には進路を選択しなかったので,3コーナーを回るとホッコータルマエがその内から並んでいく形。ロイヤルクエストの外を回ったのがコパノリッキーとベストウォーリア。そして最内を回ってきたのがレーザーバレットで,コーナーワークで直線の入口ではレーザーバレットが一旦は先頭に。奇襲のような戦法でしたが外を回ったコパノリッキーとベストウォーリアは力の違いを見せつけて直線ではこれを交わしました。2頭では先んじていたコパノリッキーが追撃を許さずにレコードタイムで優勝。ベストウォーリアが1馬身4分の3差で2着。一旦はレーザーバレットに出られたホッコータルマエもまたレーザーバレットを抜き返して3馬身差の3着。
                              
 優勝したコパノリッキーは6月の帝王賞以来の実戦で大レース8勝目。このレースは力量と距離適性から最有力候補。自身が逃げてホッコータルマエに突かれるという展開にならない限りは勝てるだろうとみていました。位置取りがホッコータルマエより後ろになったのは意外でしたが,むしろ自分のペースでレースを進められることになってよかったかもしれません。JBCクラシックは距離が伸びますので,そのあたりがどうかといったところでしょう。父はゴールドアリュール。祖母の従弟に2002年の大阪杯,2005年の大阪杯と毎日王冠を勝ったサンライズペガサス
 騎乗した田辺裕信騎手は安田記念以来の大レース5勝目。南部杯は初勝利。管理している村山明調教師は帝王賞以来の大レース制覇で南部杯初勝利。

 僕の想定の源泉になっているのは,「シナゴーグ離脱の弁明書」をスピノザが書いたという史実です。僕はそのタイトルから,これはスピノザが破門を宣告されてシナゴーグを離脱することを前提とした上で記したものだとみています。そしてそれは,その内容には『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』が先取りする形で含まれていたという見解に異を唱える識者が不在であるということと整合していると考えます。そしてこれを条件とした上で,僕はスピノザがシナゴーグに留まることを大きな悪malum,そこから離脱することをその大きな悪を回避するための善bonumであると認識したであろうと想定しているわけです。つまりこの論理は,スピノザが目指す演繹法とは真逆の帰納法であるといえます。まず先にスピノザに何が善であり何が悪であるかという認識があり,その認識が原因となって弁明書が記述されたというように説明するのが真の演繹法といえるでしょう。
 ですから僕は僕の説明に論理的な欠陥が含まれているということは認めます。ですが,だから僕がひどく的外れな見解を有しまたそれを表明したとも思わないのです。つまり少なくとも,スピノザには是が非でもシナゴーグに留まりたいという欲望cupiditasは存在しなかったという可能性は十分に想定できるものだと思うのです。ところが清水の見解というのは正反対で,スピノザがこの弁明書を書いたのは,シナゴーグに留まりたかったからにほかならないというように断定されています。だから僕はその論拠性に疑問を感じてしまうのです。
 僕にとって気になるのは,清水は論述においては単に弁明書と記し,「シナゴーグ離脱の弁明書」とは記述していないことです。なのでテクスト自体はそれはスピノザがシナゴーグに留まるために,いい換えれば破門を避けるために,ユダヤ人あるいはユダヤ人共同体の指導者たちに恭順の意を表した弁明書であるというようにスムーズに解せるようになっています。清水が自分の論述を有利に導くためにそうしたとは僕は考えませんが,少なくとも弁明書が書かれたということが,破門の宣告がスピノザにとってきわめて悲劇的な出来事だったということの決定的な論拠にはなり得ないと思うのです。
コメント
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