スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&フラーフの話

2016-10-28 19:33:27 | 将棋
 箱根で指された第29期竜王戦七番勝負第二局。
 渡辺明竜王の先手で丸山忠久九段の一手損角換り4。僕には後手が工夫するような形から相腰掛銀になったように思えます。
                                     
 先手が穴熊に潜ったところで後手から仕掛けた局面。先手は▲同銀と取ってしまい△同銀に▲6三歩と叩きました。後手は△7ニ金と逃げて先手は▲6四桂。今度は△7三金と逃げたので▲6二歩成。後手は△6四金と取りました。ここまで,先手が銀損の代償にと金を作った形。
 先手は▲5一角と王手。ここで封じ手になり△3一玉と逃げました。この手は予想できる筈なので▲2四歩△同歩▲同角成までは先手も事前に考えて最善と判断しておいたものでしょう。後手は△3三銀打と受けましたが,この手も想定可能なので▲同馬△同銀▲4五桂という手順も今日の朝までには考えておいたものかもしれません。
                                     
 第2図はと金の代償が角損に拡大。さらに後手玉が先手のと金から離れ,2筋に飛車が直通していますが,後手は歩が2枚あるので止めることが可能。今日の昼にこの局面の一手後を見たときは,深く考える時間はなかったもののさすがに無理な攻めで後手の方が圧倒的によいくらいに思えました。今は実際にはそこまでの差はなかったと思いますが,攻めが無理だったのは確かではないでしょうか。先手はこの手順しかなかったのなら,穴熊に潜っている余裕はなかったということでしょう。
 丸山九段が勝って1勝1敗。第三局は来月7日と8日です。

 フラーフとスピノザが友人であったのなら,ファン・ローンJoanis van Loonがスピノザを我々の友人と言っていることから,フラーフが知っていたことのすべてをローンも知っていただろうと僕は解します。一方,そうではなかった場合には,フラーフは自分が知っていることに関してはローンも知っているだろうという想定にの下に話したと僕は考えます。もしも職責として知り得たことがあったとしたら,それをローンに対しては秘匿しておいただろうと想定できるからです。一方,それに対するローンの応答からして,フラーフの想定は正しかった,つまりスピノザが年金という和解案を拒否して破門されたということをローンも知っていたと僕は読解します。
 ただし,どちらの場合も次のことは想定できます。ローンはスピノザに対する保護を求めにフラーフを訪ねたのであって,それに対してはすでに警護が行われているという答えが与えられたことから,確かにフラーフが語ったことの中には,ローンが知らなかったことも含まれてはいました。したがって,たとえ市長という職を務めていたから知り得たことだとしても,ローンに対してなら話してもよいだろうとフラーフが考えたこと,いい換えればローンは知らないだろうと思っていたこともフラーフは話したのかもしれません。念のためにこの場合についても考察しておきます。
 年金の話が出てくる場面では,それ以外の実例もフラーフは語っています。最初にスピノザがユダヤ教会とユダヤ人を見捨てたということです。これは破門されたという意味ですが,フラーフの観点からは,むしろスピノザの方が望んで破門を受け入れたというように見えていたのでしょう。次に,スピノザはユダヤ教の律法学者に,あなたたちは盲人の手を引こうとしている盲人だと言い放ったということです。その後で,年金を贈るという申し出を断ったことが出てきます。そして最後に,破門を宣告されたときにスピノザはきわめて威厳のある態度をとり,一切の自己弁護をせず,また市の当局者に訴えることもしなかったということです。これらすべてについて,フラーフはスピノザの考えに同調し,またその行動を高く評価してるのです。
コメント
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