スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

天皇賞(春)&画家の地位

2016-05-01 19:23:40 | 中央競馬
 第153回天皇賞(春)
 最内枠からキタサンブラックの逃げ。2番手にヤマニンボワラクテ,3番手のインにカレンミロティック。サウンズオブアースとマイネルメダリスト,アドマイヤデウスとトーセンレーヴとゴールドアクター,シュヴァルグランとサトノノブレスとトーホウジャッカルという隊列で続きました。最初の1000mは61秒8のスローペース。
 2周目の3コーナーを回るとゴールドアクターが3番手に。内のカレンミロティックはついていきましたがサウンズオブアースは後退。トーホウジャッカルが進出してきました。直線に入るところでもキタサンブラックが先頭。ゴールドアクターが外から追って内からカレンミロティックと外のトーホウジャッカルの4頭が後ろを離す形に。ここから内を回った2頭の叩き合いに。一旦はカレンミロティックが前に出たと思いますが,キタサンブラックも差し返しにいき,2頭が馬体を並べてゴールイン。写真判定の結果,優勝はキタサンブラック。ハナ差の2着にカレンミロティック。これもずっと内を回り,直線はゴールドアクターとトーホウジャッカルの間を突いたシュヴァルグランが1馬身4分の1差で3着。
 優勝したキタサンブラックは昨年の菊花賞以来の大レース2勝目。結果的には長距離の大レースを2勝ということになりましたが,適性というものではないと思います。どちらのレースもさほどタイムが早くなってなく,もっと消耗戦のようなレースになった場合には違った結果になるのかもしれません。このレースはインを回った馬の上位独占になり,菊花賞のときと同じように好枠を引けたのも幸いしました。最後に差し返したあたりの勝負根性は非凡で,精神的にも落ち着いていますから,今後も大きく崩れるようなレースはしないだろうと思います。父は2004年にスプリングステークスを勝ったブラックタイド。母の父はサクラバクシンオー
                                     
 騎乗した武豊騎手香港カップ以来の大レース制覇。国内ではJBCクラシック以来。第99回,101回,103回,105回,119回,133回に続き10年ぶりの天皇賞(春)7勝目。第100回,116回,120回,136回,138回の天皇賞(秋)を勝っていて天皇賞は12勝目。管理している清水久詞調教師は菊花賞以来の大レース2勝目。

 僕は観念が観念されたものを離れた思惟の様態として実在的であるということ,すなわち客観的有であるということを示すために,観念というのは対象を撮影した写真のようなものではないといういい方を好んで用いてきました。これは第二部定理四三備考などで示されているスピノザの表現を,現代風にアレンジしたものです。たぶん観念は絵のようなものではないというより,観念は写真のようなものではないといった方が,観念がいかなる意味において実在的であるのかということを,現代では分かりやすく伝えられるのではないかと思うのです。ただスピノザの時代には,カメラ・オブスキュラはあっても,写真は一般的ではありませんでしたから,スピノザはそれを絵で喩えたのです。
 ただし,このいい回しには考慮しておくべき点があります。『人と思想 スピノザ』の中の当時のオランダの状況の説明からすると,絵画に対するイメージが,僕たちとスピノザでは違っていたかもしれないからです。
 スピノザの時代のオランダは貿易で大いに栄えていました。それで市民の生活水準も,ヨーロッパの他国よりむしろ高かったようです。なので絵画を買い求めたのは上層の大商人に限られたことでなく,中流所得者にも及んでいたし,農家の部屋にも飾られていたと工藤は書いています。立派な絵が街頭で売られることもあったし,絵画自体が投機の対象になるケースもあったようです。
 また,この時代のオランダで支配的であった宗教はカルヴィニズムでした。カルヴィニズムというのは,僕たちが宗教芸術と解するような大壁画や大彫刻などには概して否定的でした。なので求められるのは一枚画が多かったようなのです。
 こうした事情から,当時のオランダでは絵画は芸術作品というよりは部屋を装飾するための調度品という意味が大きかったようなのです。僕たちは画家も小説家も同じように芸術家と考えるのが普通ですが,この時代のオランダでは画家の処遇は低く,たとえば詩人が芸術家とみなされるようには芸術家とはみなされず,むしろ装飾品ではあったとしても,生活必需品のひとつを製作する職人として処遇されていたようなのです。
コメント
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