スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&無限様態の数

2013-07-20 19:00:23 | 将棋
 第26期竜王戦決勝トーナメント。昨日は挑戦者決定戦進出をかけ,森内俊之名人と羽生善治三冠がぶつかりました。対戦成績は森内名人が56勝,羽生三冠が66勝。
 振駒で羽生三冠の先手。森内名人が追随して角換り相腰掛銀。先後同型の直前に先手が▲4八飛と回る将棋。いつものように手待ちの繰り返しでしたが,その手順はあまり見たことがないものでした。先手が仕掛け,そこからは先手の攻め,後手の受けという展開がしばらく続きました。
                         
 先手が飛車を成り込んだ局面。駒損はともかく,攻めが重い形なので後手としてはチャンスと思えます。△8六桂と打っていきました。これは夕食休憩直後の一手。休憩中も考えられるわけですから,かなりの程度まで目算を立てることができたための指し手であったように思われます。▲同歩△同歩▲同銀に,銀は取らずに△8七歩。▲7七玉と逃げましたが△8八銀と王手をして,▲6八玉に△8九銀不成で桂馬を入手。▲7九金に△4六桂とその桂馬をすぐに打っていきました。
                         
 金を逃げても銀を取ってもダメということで,この局面は後手が勝勢のようです。流れるような手順が見事な一局でした。
 森内名人の勝利で挑戦者決定戦進出。反対の山はまだ残っていますが,準決勝は紹介します。

 抽象性と具体性について注意しなければならないことは,厳密にいうなら無限様態にも該当するといわなければなりません。ただ,無限様態の場合には,res singularisの場合とは異なった事情があります。
 第一部定理二一と第一部定理二二で示されていることは,直接無限様態は神のある属性の絶対的本性を原因として生じるということであり,また間接無限様態はそのようにして発生した直接無限様態を原因として生じるということです。しかるに第一部公理三によれば,一定の原因からは必然的にある結果が生じます。いい換えるなら,あるひとつの原因からは同じひとつの結果しか生じてこないということになります。そうでなければその原因と結果との間にある関係を必然的であるとみなすことは不可能ですから,第一部公理三をこのような意味に解釈することは妥当であると思います。すると,ある属性の絶対的本性を原因として発生する直接無限様態は,その属性においてひとつだけであり,同様にその唯一の直接無限様態を原因として生じる間接無限様態も,その属性にはひとつだけであるということになります。つまり直接無限様態も間接無限様態も,それぞれの属性にひとつだけ存在するのであり,同一の属性に複数の直接無限様態,また間接無限様態が存在するということはないと考えなければなりません。
 次に,第一部定義六は,神の属性は無限に多くあることを示しています。そしてその各々の属性に直接無限様態と間接無限様態が存在すると考えるべきであると僕は理解しますから,これでみれば直接無限様態も間接無限様態も無限に多くあると理解しなければなりません。
 ただし,第二部公理五が示すように,人間が認識し得る神の属性は,思惟の属性と延長の属性のふたつだけです。したがって人間が認識し得る無限様態は,思惟の属性の直接無限様態と間接無限様態,そして延長の属性の直接無限様態と間接無限様態の四種類に限られるということになります。これに対して,人間が認識可能なres singularisは,無際限にあるといわなければならないでしょう。このために,無限様態に関しては,さほどの注意は必要ないことになります。
コメント
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