スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王座戦&テーマの設定

2012-08-30 18:38:23 | 将棋
 昨年と立場を入れ替えての再戦となった第60期王座戦五番勝負は昨日,仙台で開幕しました。対戦成績は渡辺明王座が19勝,羽生善治二冠が16勝。
 振駒で羽生二冠の先手。相矢倉に誘導したのに対して渡辺王座が急戦で対抗。先手は後手に8筋の歩交換を許す指し方。端に覗いた角を切って2筋から攻めかかりました。
                         
 攻め自体は決まっていたようです。実戦はここで▲4五銀と出たのですが,正しくは▲2二歩成△4一王▲3ニと△同金としてから▲4五銀とすべきであったとのこと。決まっているといっても,駒損ですから,正しく指していかなければ攻めが続かなくなるおそれもありますし,反撃を食らう可能性も高まってしまいます。対して△6七桂と打ちました。
                         
 これが厳しい反撃なのですが,▲6九玉と狭いところに逃げる手があり,そう指せば先手に面白い変化が残っていたようです。実戦は▲6七同銀と取り,どうやらこれで難しいながらも後手の勝ち筋に入っているようです。
 このまま押し切って渡辺王座が先勝。第二局は来月5日です。

 今回のテーマとして第二部定理一二を設定するに至った理由は以下に説明する通りです。
 前回は第二部定理九について考察しました。僕はこの定理は,そこでいわれている個物の観念というのが十全な観念であろうと混乱した観念であろうと成立しなければならないと考えます。しかしもしもこの定理が,神の無限知性を対象にしているのであるとすれば,まず第二部定理三二によってそれが真の観念でなければなりません。よって第二部定義四により,それは十全な観念だけを対象として示しているということになります。
 もしもこのような仕方で第二部定理九を解釈するならば,この意味の変様というのは,第二部定理九系にも影響してきます。これは第二部定理九系というのが第二部定理九の系であるということ自体で明らかであるということになるでしょう。しかるに,第二部定理一二というのは,第二部定理九系に依拠することによって証明される定理です。これは見解の相違がある筈ですが,とくに僕の場合,第二部定理九系では一般的に示されている事柄が,第二部定理一二では具体的に示されていると理解しています。よって,もしも第二部定理九系に何らかの解釈の変更があるならば,それが直ちに第二部定理一二の解釈にも影響を及ぼすということになるのです。
 このブログの最初のテーマが第二部定理一二であったように,僕にとってこれは『エチカ』における最大の謎ともいえる定理です。ですから実は第二部定理九の意味の変様というのは,単に第二部定理九に関して考察する場合よりも,第二部定理一二の解釈にも影響が及んでくるという点の方が,僕にとっては重大なのです。したがってこの点に関して改めて考えてみるということが,再び第二部定理一二をテーマとして設定した直接的な契機であるということになります。
 一方,現在でもこの定理は,僕にとって大きな謎として残っているということは,6年半前にこれを考えたときと変わっていないのですが,その謎の重みという点に関しては,現在は当時とは明らかに変化しています。ちょうどよい機会ですから,今回はそのあたりのことも考察の対象として示すということにします。
コメント
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