スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王位戦&第一部定理二三証明

2007-08-09 22:47:05 | 将棋
 角換り相腰掛銀先後同型の将棋というのは,途中の手順に若干の相違はあっても,38手で組み上がります。渡辺竜王によると,この局面がプロの公式戦に出現したのは,昨日も紹介した棋聖戦五番勝負第一局以降では,昨日・今日の王位戦七番勝負第四局が初めてとのこと。そういえば名人戦七番勝負第七局では,おそらく郷田真隆九段はこの局面を志向したと思うのですが,森内俊之名人は避けています。そういう意味では,現状のプロ間の見解では,この38手まで組み上がると,ここから▲4五歩と仕掛けて,難しいながらも先手の方が指しやすいということなのではないかと推測されます。
 この将棋もそのように進み,ほんの少しだけリードしている先手の深浦康市八段が,最後の最後までそのわずかな差を維持したまま押し切ったということではないかと僕は思います。羽生善治王位は,76手目に△7六桂と王手し,▲7七玉となった形が寄せにくかったという趣旨のことをおっしゃっていましたが,封じ手の△8八歩というのはこの王手をひとつの狙いとした手と思いますので,渡辺竜王の△3六歩に替えての△8八歩でも,あるいは後手が芳しくないということなのかもしれません。
 手として印象に残ったのは107手目の▲6七桂。これが単に受けだけでなく攻めに大きな効果を発揮しました。それから113手目の▲4六銀で,なるほどこう寄せていくものなのですね。この局面ではライブ中継を見ていまして,この手が指されてすぐ終ると思いましたが,これでも負けとはいえ次の△2七馬もいい粘り方だったと思いました。
 大盤解説のライブ中継で,終局直後に大きな拍手が上がっていました。前夜祭の決意表明で深浦八段が言っていたように,長崎出身の深浦八段にとって,この九州での対局はいわばホームでの戦い。何となくその利を生かしたように僕には思えました。人間が指すものですから,周囲の雰囲気の影響というのはばかにならないのではないかと思います。
 大きな一番を制して深浦八段が王位戴冠に王手。第五局は29日と30日に指されます。

 明日から小松島記念。ここは小嶋選手を軸に展開していくでしょう。

 第一部定理二三というのは,結果の認識が原因の認識に依存するという第一部公理四を用いることによって,わりと簡単に証明できると僕は考えています。なお,ここでは今のテーマに沿って,無限であることについてだけ証明することにします。
 この公理四により,もし結果として無限である様態が生じるならば,この様態が無限であるということは,その原因であるものに依存しなければならなくなります。したがって,もしも原因であるものが有限であるもの,すなわち個物であるとしたら,それを原因として無限な様態は生じません。このことは個物の原因はほかの個物であるという第一部定理二八を逆に考えた場合からもいえます。したがって,もしもある無限な様態が自然のうちに生じるなら,その原因であるものは,その本性が無限であるものでなければならないということが理解できます。
 これだけで十分であると僕は考えます。なぜなら,第一部公理一の意味により,自然のうちには実体とその属性,そして様態だけしか実在しませんが,様態というのは実体のうちにあるものですから,その本性が無限であるものは実体,あるいは実体の本性を構成する属性だけであることになります。だから無限である様態の原因は,そうした無限であるという属性の絶対的本性を原因とするか,そうでなければ,この絶対的本性が変状した直接無限様態を原因とするかの,どちらかでなければならないということになります。
 永遠である様態がこうした仕方でしか生じ得ないということについても,結果が永遠であるためには原因も永遠でなければならないという観点から,同じ仕方で証明が可能であると考えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする