「左の肘の内側が痛い」と訴える方が来られました。
顔を見るとニコニコしているので、ちっとも痛そうにありません。(笑)
「痛いところを触ってみて頂けませんか」と言うと、左肘内側を触って、
「イタッ!」という顔をしたので、「結構痛いんだな」と納得した。
脈診をすると、左尺中の沈(腎)が虚しているので、「ははーん」と思って、
「これは経絡では心経になるのですが、根本は腎臓にありますねー」と言うと、
「それで腰が重たかったのでしょうかねー」と言う。
「そうですね。今から腎臓の経絡に1本鍼をすると、その肘の痛みが消えるので、それを見たら納得する?」と言うと、ニコッと笑いながら首を縦に振っていました。
左の腎査穴に1本鍼を刺し、軽く捻鍼してから、
「はい! 先ほどの肘の痛みを確認してください」と言うと、早速肘の内側を触って、つねって、引っ張って、またも強く押したりしてから、笑い顔で、
「痛くないです。おほほ!!!」と笑っていました。
七星論では左の尺中を腎としますが、腎と心経の関係は、対応経絡という形で、お互いに補いあっているからで、この方のように痛みの出た経絡は心経でも、脈診では腎虚となると、心経を使う必要はなく、腎経で治るわけです。
と言うよりは、腎経と心経はシーソーのようにも働きますので、この場合に心経を使うと、腎経がもっと虚して治りが悪くなるのです。
このことから言えることは、経絡上の痛みは、「即、その当該経絡の異変」と判断するのはよくありません。