「正座ができず、歩くときもちょっと痛いんです」と来られた方がいました。
痛みは足首の広範囲を四指で撫でるように示していました。
この部位の痛みを筋肉で診ますと、以下のようになります。
A 長母趾伸筋
腓骨中央から始まり母指の底部背側に付着。母趾を伸展すると共に、足関節を背屈します。
B 長趾伸筋
脛骨前面から始まり、2~5趾の足背に付着し背屈と外反をします。この筋肉の力は、底屈と背屈のバランスをとるためにも大切とされています。2~5趾の伸展、屈曲の自動運動は重要です。
C 短母趾伸筋
短趾伸筋と共に趾を伸展する筋肉です。起始は踵骨の上部背面ですが、短趾伸筋が長趾伸筋腱に付着するのに対して、短母趾伸筋は、腱に付着するのではなく、直接、骨(第一趾の基節骨)に付着して、直接的に母趾を伸展します。
D 短趾伸筋
足趾の伸展筋の一つです。踵骨の上部に付着して、第二~第四趾に走行しています。長趾伸筋腱に付着して伸展を補佐します。足の背側に筋腹が位置するのは、短趾伸筋と短母指伸筋と背側骨間筋のみです。この筋肉は、深層にあるため、触診は出来ません。
ですから、スポーツ鍼灸をはじめとした現代医学的な考え方では、それらの筋肉やそれらの筋肉を留めている靭帯の異変と考え、それら筋肉や靭帯を整える治療を行なっているようです。
しかし、七星論で考えると「地=心包・三焦経」になり、脈診をしても心包経の脈が虚していました。
七星鍼法で治療すると簡単に治るのですが、「腰も痛い」と言っていましたので、「しめた!」と思い、先にJAA(関節調整鍼)で治療することにしました。
何が「しめた!」なのかと言うと、七星鍼法だと一つのツボで3分ほどで治療が終わってしまうし、JAAの研究をしていたときなので、JAAを先に使いたかったからで、JAAだと腰の痛みも一緒に治せるという自信あったからです。(^_^;)
そこで、
「足首の痛みは腰とも関係しているようですので、腰の治療からしましょうか」と話し、早速伏臥になってもらいJAAを施しました。
そして、
「ベッドから降りて立ってみてください。腰も足首も痛みが楽になっているはずです」と言うと、パッとベッドから降りて、腰を曲げたり膝を曲げたりしていたのですが、
「はい。治ったようです」とちょっと不満そうな顔をしていました。
何が不満な顔をさせたのかと言うと、多分、多分ですよ。多分、「こんな短時間に治るのに、高い治療費を払わなければならないのか」と考えていたのではないかと思います。
そう考えるのはしかたがありませんので、そのまま不満を持たれると今後に影響するので、
「実は、足首が痛いのは心筋(心包経)に問題がありまして、そこを治しておかないと、またも痛み出すと思いますので、そちらの治療もしておきますね」と、六臓診(臓腑の異変が体表に現れたところを押したり叩いたりして診断する方法)で、本人に確認してもらい、全経絡を整える治療と、肝と心包の治療をしました。
肝の治療をする理由は、腰痛が肝と関係していたことと、心包の異変は肝の異変からくる場合が殆どだからです。