ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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自給率の余りの低さの危うさー

2005-02-14 11:02:40 | 経済学
学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表


 2月12日、西宮神社会館での講演会で
名城大学非常勤講師南波壮八先生の話を聞いた。

 タイトルは「私たちの生活と船」であったが、
日本という国が大部分の物資を海外に依存し、
重量ベースでみれば、その輸出入貨物の
99.7%は船舶によって行われている事実を
改めて教えられた。

 金額ベースではさすがに航空貨物の比率が
約30%となるが、それでも70%近くが船舶に
依存している。

 船舶が我々日本人の生活にいかに密接不可分に
関わっているかの証拠である。四面環海の日本は
海の恩恵を受け、船舶輸送というエネルギー効率の
極めて高い輸送手段で生き延びてきたとしても
過言でない。

 資源に恵まれない日本という国が、海に恵まれた
環境のお蔭で、結果として、日本の食料、エネルギー
その他の諸々の資材物品の海外依存率を
皮肉にも高くしたかもしれない。

 日本船主協会統計資料によると、
平成13年の海外依存率は、
石炭(97.9%)、
原油(99.7%)、
天然ガス(96.9%)、
鉄鉱石(100.0%)、
羊毛(100.0%)、
綿花(100.0%)、
大豆(94.7%)、
小麦(88.8%)、
塩(84.6%)である。

 1973年の第1次オイルショツクで原油の値段は1バレル
2ドルだったのが一挙に12.5ドルまで急騰した。

 1978年の第2次オイルシヨックでは原油の値段は
バレル12ドルが30ドルまではね上がった。

 2004年末には一時バレル55ドル強まで暴騰したが
現在45ドル前後で推移しているが、高値圏である
ことには変わりない。

 ドルが安くなったからドル建てで稼いでいる産油国は
ドル安のためどうしても原油のドル建て価格を上げざるを
得ないとおもうのは自然である。

 しかし幸いなるかな、こと輸入物価に関して言えば、
日本人の痛みの違いは1973年当時と現在とでは比較に
ならない。

 それは当時の為替レートが1ドル=300円台であったが、
現在は1ドル=105円であるにすぎない。量的不安が解消
した面も大きいが、その後円が高くなった(ドルが安くなった)
お蔭でドルベースでの値上りが円ベースでは1/3に
抑えられている要素が大きい。

 しかし、現在安定している為替レートが円高(ドル安)から
円安(ドル高)に転換すると一転して日本という国は
狂乱物価の坩堝にほりこまれる危うさをつねに内包している。
円高が危機意識をカバーしているにすぎない。

 日本人は当たり前のように毎日豆腐を食べているが
豆腐の原料は大豆である。その大豆の95%近くが
海外に依存していることを日常ほとんど意識していない。
塩にいたってはまさかの85%が海外に依存していると
気付いている日本人はほとんどいないだろう。

 食料もさることながらエネルギー源の海外依存率
ほぼ100%は異常である。60数年前日本は
太平洋戦争に突入したが原油を断たれるかも
しれないとの危機感が背景にあったことは
十分想像される。

 中国が日本近海に潜水艦を徘徊させているのも、
中国が将来迫り来る深刻なエネルギー不足危機を肌身に
感じて国を上げて命懸けでエネルギー源を探索している
からであろう。

 日本の近海を1.500~2.000メートル掘れば豊富な
メタンガスが埋蔵されているとの話を昨日の
講演会でも聞いた。

 原油は万能ではない。LPG(液化天然ガス)も
あるが代替エネルギー元としてメタンガスは
日本にとつて有力な候補といわれている。

 英国が老大国から名実ともに発言権をもった
国に蘇った裏にはサッチャーイズムの浸透も
あるが、北海油田の発見が英国を助けている
ことは明かである。

 その英国でさえ石油から代替エネルギー問題に
真剣に取り組み始めたと伝えられる。

 その背景には中国、インドでの尋常でない
エネルギー不足が及ぼす深刻な事態が自分の
足元に迫ってきているという危機感が英国人に
共有されつつあるからであろう。

 日本ではエネルギー危機に対する感覚が
あまりにも希薄である。その一方で、値段を
下げれば物が売れると思い込んでいる
経営者が日本には相変わらず存在している。

 値段を下げろと叱咤する上司はいても値段を
上げてでも、魅力ある製品、商品を作れと部下を
叱る上司はいないのか。

 優れた技術開発力こそ日本の命である。
円高・ドル安を武器に使い、世界の資源を
むさぼり食って日本は今までは成長を謳歌してきた。
このような幸運が永遠に続く道理がないであろう。

 自給率の余りの低さに危うさを感じる。(了)

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