ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

病院抜け出し

2005-02-22 16:59:50 | スケッチ
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3  C0071 1905E 
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)



喫茶「いけだ」に、今朝8時過ぎにスキー帽、
皮ジャンパーの一人の男が来店した。
 
  マスターとの会話を黙って聞いているとあらまし
こんな調子である。>
 
  Yさんだということはあとでわかった。話しぶりから
「いけだ」のマスターとはかなり前からの馴染み客で
あるようだ。

 Yさんの病名は肝硬変。本人の話では腹が
ぱんぱんに膨らんでいるそうだ。

 「わしがここに来なんようになったら死んだと
思うてくれ」という話や横顔をちらった見ただけでは
はっきりしないが、素人目にもYさんの顔が土色で
むくんでいることがはっきりわかるほどだから
相当悪いと想像できる。

 病院の看護婦はYさんが病院抜け出しの常習犯で
あることは承知のようだ。
 
 今朝も看護婦に呼びとめられたが、
「新聞買いに行くんや」というと
『新聞買うのに長い時間かかるんやなあ』と
言いいながら今朝も外出を黙認してくれたようだ。

 薄い食パン一枚、冷たいミルクの朝食。
あんなもん、毎日毎日食えるかいなというのが
Yさんの言い分のようだ。

 「Yさん、早よう病院へ帰えらなあかんやないか」
とマスターが水をむけたら、「朝は外来が忙しい。
わしらの診察は午後やねん」と落ちついたものだ。

 毎日、点滴と食事療法。病院では4人部屋で
禁煙が建前の病院で4人全員が看護婦の目を
盗んでタバコを部屋の中で吸っているそうだ。

 「こないだ、病院の中庭の噴水の蔭で酒を
ひっかけていたら、ポンと肩をたたかれた。
誰やと思って振り向くと髪の長い女が立っていた。」
とYさんの話しである。実はその女性は病院の
看護婦さんでベッドから抜け出したYさんを
連れ戻しに来たらしいという。

 「いけだ」のマスターの話ではYさんのほかにも
病院一時抜け出し、小休止の店の客が最近増えているそうだ。
殺伐とした日々の病院生活からいっときの安らぎを
近くの喫茶店にも求めるのだろうか。

 それとも病院も一部だろうがその手の患者の
行動には経費節減で手が回り切らず、ついつい、
見て見ぬ振りをしているのだろうか。

 以前白内障で兵庫県立N病院に入院していたとき、
同室の患者が近くの銭湯へ行ってきたとにこにこ
して話していた姿を思い出した。

 患者も患者である。肝硬変でもタバコを吸う。酒は飲む。
どうせ死ぬんやからほっといてくれとYさんも言う。

 ところで脳梗塞で入院していた先日のHさんは
看護婦を殴ったということで先日強制退院させられたと
聞いた。学校の先生も命懸けだが、看護婦さんも
いよいよ命懸けの時代になって来たのだろうか。

 赤字の病院が阪神間でも増えているそうだ。
病院の経営が日々危なくなってきているという話も
よく聞く。そのせいでもあるまいが、まともなメス捌きも
出来ない外科医も増えてきたらしい。

 Yさんによれば、70歳を過ぎるとがたっと体力が落ちたと
いう。神戸も震災後10年たった。街に老人の姿がやたら目に
つくようになった。ひとひとりひとりが老け込むのも
困るが街全体、日本という国全体が老け込むのが一番
心配だ。

 先日、JR住吉駅ホームで快速電車を待っていたら
女客の横に夫婦とおぼしき老人が並んだところを
スケッチした。後姿をみていると二人でどこへ
出かけるのだろうかとふと心配になった。

 少子化も問題であるが老人がこうも急激に増える
姿を見せつけられると、目先のことばかり追いかけて
そ知らぬ顔の日本の政治家の生き様の方がむしろ
心配で心穏やかでない。(了)

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