遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

最近読んだ本のこと

2008年02月28日 21時45分31秒 | 読書
近所の本屋さんでたまに文庫本を買います。
特に買う本を決めて行くことはなく、
平積みになっているものから気になったタイトルのものを選び、
本に書いてある説明や著者の情報を読んで買います。

最近買った本が久々に自分の中でヒットだったので、
ここに書いておこうと思いました。

「閉鎖病棟」帚木蓬生

最初に本屋さんの平積みコーナーでこのタイトルを見たときは、
「なんだか怖そう・・・」という印象でした。
私は人情話とかコメディが好きで、ホラーやサスペンスは好みではないので、
病院を舞台にしたホラーだったらどうしようと思ったのです。

けれど、著者プロフィールを読んだら現役の精神科医で、
お話も精神病院と患者さんのお話とのこと。
あらすじを見たら特にホラーでもサスペンスでもないようだったので買ってみました。

患者さんの生活が淡々と、それでいて人間味に溢れた様子で描かれ、
院内で起こる事件や患者さん達の環境の変化を通して、
じわじわと心に入り込んでくるお話でした。

ここに描かれている患者さん達の人間味に溢れたやり取りや行動は、
どれもとても共感できるもので、ちっとも異常ではありませんでした。
むしろ、自分たちのいる「自由」な世界のほうが、
人間味を押し殺して生きなければいけない不健康な世界なのではないかと思いました。
「心を病む人=社会に適合できない駄目な人間」なのではなく、
心が病むことがその人にとって人間らしくあるための最後の砦なのではないかと思います。

心を病む人が増えることは、
この社会が人間にとって人間らしく生きるに難い世界になっているという、
警告なのだなあと思いました。

心を病む人の沢山いる環境で心を病まずに生きている人のほうが、
もしかしたら病気なのかもしれません。
自分を守るための「病気になる」力、感受性が正しく働かない、
過剰ストレス耐性病とでも言えばよいのでしょうか。
まあ、
でも病気は病気ですから、
できるだけ自分で色んな問題に対応できるように自衛し、
病院のお世話にならずに生きるほうがベターではあると思います。
ただ、この小説の登場人物のことを忘れないようにして、
自分や友達もいつなるか分からない心の病気というものを自然なものとして受け止め、
変わりなく関わっていられる人間でいたいと思いました。

なんだか色々考えてしまいました。

物語としても感動でき、最後まで飽きませんでした。
これは著者の性格なのかもしれませんが登場人物のみんなに心地よい筋が通っていて、
読後感が良かったです。
個人的にとても満足の一冊です。

(子)
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