ウオンバットのうんちはなぜ、四角いのか?
とあるウオンバット研究者の数奇な人生
高野光太郎(著)2022年10月発行
なにやら不思議で妙に唆られる題名に惹かれ、つい手に取ってみました。
確かに珍しい動物のフィールド研究の話ではあるので興味深く読みましたが、
“数奇な人生”というのは、どうなのかなあ・・・?誇張しすぎでは?
ここに興味を抱いて読んだ場合は、かなりガッカリしてしまうかも。
著者が語りたかったのが、ウオンバットなどオーストラリアに住む貴重生物が
長年にわたり人間による自然破壊や近年の気象変動により激減し絶滅の危機に
瀕している、そういうことを遠く離れた日本の人たちにも知ってもらい改善策に
協力して欲しい、ということ。
そして、日本の高校を卒業し、豪州に渡った著者が苦労と努力を重ねた結果、
ウオンバットの研究に携わるようになるまでの過程を是非知って欲しい。
と、大まかにはこの二つかな。
でも、この著者の経験が数奇かというと、ちょっと疑問ですねえ。
なので失礼ながら、個人的にはこの副題はない方が良心的ではないかと。
で、本題の「四角いうんち」の謎は、ネタバレになりそうなんですが、、、
(あくまでも母が忘れないように)
・ウオンバットの腸壁の硬さが場所によって違う
(水飲まないウオンバットは、人間のフンの3倍も乾燥している)
・他種とのコミュニケーションが苦手なので、自分のテリトリーを主張し、
マーキングの手段として、天候変化が激しいオーストラリアで風や雨でも
同じ場所に長時間フンを留まらせるため(丸いと転がる)
これらの理由で、フンがサイコロ型になったのではないか・・・。
こんな感じだったと思います。
著者の半生(オーストラリアでの受験、大学生活、研究、フィールドワーク)は
ありのままで貴重な話なので、この副題さえ付いていなければ文句なし、です。
そして、気に入ったのが表紙の画、真ん中のウオンバットやタスマニアデビル、
カモノハシ、ハリモグラ、カンガルーなどオーストラリアの動物が勢揃いして、
すごく素敵、裏のウオンバットも超可愛いです。
今後も、著者の研究、保護活動など、健闘を願っています。
わがまま母
晶文社案内文を以下に転載します
話題の「謎のモフモフ動物」
の生態が明らかに!
本邦初! オーストラリアにすむ、可愛すぎる謎のモフモフ動物「ウォンバット」の秘密と魅力を、日本で一番詳しい研究者が徹底紹介!
足:速い!時速40kmで走る。
お尻:めっちゃ硬い。これで肉食獣を撃退!
魅力:とにかく可愛い。
ある日は泥んこになりながらウォンバットを追いかけ、またある日は複数のウォンバットを一度に抱っこし、そしてある日は病気に罹ったウォンバットを治療する。
高校卒業後、すぐにオーストラリアの大自然へ旅立った「ウォンバットまみれ」の日々を過ごす著者とともに森や草原を探索する「紙上フィールドワーク」!
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【目次】
旅のはじめに—―フィールドワークから
はじめに
・いざ! オーストラリアの森林へ!—―秘密のウォンバット
第1章:さらば故郷。少年はオーストラリア大陸を目指す
第2章:留学生活は甘くない?
—―タスマニア大学理学部動物学科、奮闘の日々
[コラム]異文化交流あるある
第3章:ウォンバットのうんちはなぜ、四角いのか?
・3種のウォンバット
・ウォンバットを苦しめる恐怖の感染症との戦い
・希望の光
・サイン
・分子生物学(ミクロ)の世界へ。
・ウォンバット研究者、再びフィールドへ
・「ウォンバットを守りたい!」その強い想いが裏目に……
[コラム]:海外での研究室あるある
第4章:驚き! オーストラリアの動物たち
・コアラ
・カモノハシとハリモグラ
・タスマニアデビル
・タスマニアタイガー
第5章:野生を守る
・失われていく自然。その先に待ち受けるもの
おわりに
参考文献
◇高野光太郎(たかの・こうたろう)
ウォンバットを愛し、またウォンバットに愛されたウォンバット研究者。愛知県出身。2012年に日本の高校を卒業後、タスマニア大学理学部動物学科・同大学院生物化学修士課程修了。メルボルンでの就労経験を経て、現在はサンシャインコースト大学健康・行動科学部でさらなるウォンバットの研究に携わる。