重要証人
ウイグルの強制収容所を逃れて
サイラグル・サウトバイ
アレクサンドラ・カヴェーリウス 2021年8月発行
本書について知り、自分なりに心構えをしてから読み始めたのですが、記録されている
内容は(予想はしていたものの)かなり衝撃的です。
それでも、事実を知っておく必要があるのではないか、、、と思い読了。
理不尽極まりない過酷な状況下、強い気持ちを保ち続け国境を越え、迫害の手を逃れ
家族とスウエーデンに辿り着き、脅迫や嫌がらせに遭いながらも本書を完成させた
サウトバイさん。ただただ尊敬というか畏敬の念というか、、、本当に凄い人だな〜・・・
どうしたらこんなに強く柔軟に苦難の年月を乗り越えられるのか?!と考えさせられました。
持って生まれた資質なのか? それに加え、本人も語っているように、やはり父親の教えや
愛に溢れる家庭環境で育った影響なのでしょうかねえ。
衝撃と感動のノンフィクション。
チベット自治区の迫害では、ダライ・ラマが亡命したり、僧侶たちが焼身自殺を図った
というニュースを知ってはいたものの、それがウイグルでも、、、
命をかけて証言した彼女の切なる想いが世界の為政者たちに届くよう願います。
とにかく、今、隣の大国指導者の思想、行なわれている政策の実情を手遅れにならぬよう、
日本人として知っておく必要があるのではないかと思うので、辛いけど是非読んで欲しい。
わがまま母
本の内容は、解説文を記すことにします。
— いま、中国の新疆ウイグル自治区では何が行なわれているのか?
命がけで強制収容所から逃れた女性あ証言する衝撃的な実態!
著者は新疆ウイグル自治区で生まれ育ったカザフ人女性。
医師であり教師であり、二人の子供をもつ母親。
日に日に住民に対する監視態勢が激化するなか、
ある日突然、拘束されて再教育施設と呼ばれる強制収容所に連行される。
そこで行なわれていたのはウイグルに生きる少数民族への想像を絶する弾圧だった。
自分たちの言葉を禁じられ、伝統も文化も宗教も奪われて中国共産党への忠誠を誓わされる。
繰り返される拷問、洗脳、レイプ。そしてその先に待ち受ける死。
命がけで隣国カザフスタンに脱出した著者は、
2018年、法廷に立ってウイグルで現在進行中の恐るべき実態を証言した。
その衝撃的な事実は各国の主要メディアによって次々と報道され世界中に激震が走った。
—
・・・ サイラグル・サウトバイについて ・・・
新疆ウイグル自治区出身のカザフ人。1976年、イリ・カザフ自治州に生まれる。元医師・
幼稚園園長。2017年11月から翌年3月まで新疆の少数民族を対象として強制収容所に連行され
中国語教師として働かされる。収容所から解放された直後、今度は自身が収容者として収監
されることを知って故国のカザフスタンに逃げるが、不法入国の罪に問われ同国で裁判を受ける。
この裁判で中国政府が「職業技能教育訓練センター」と称する再教育施設の実態と機密情報に
ついて証言、裁判は一躍世界的な関心を呼び、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、
フランクフルター・アルゲマイネ・ツアイトウングなどの主要メディアで報じられる。
カザフスタンは政府は亡命申請を却下、滞在許可が切れる直前の2019年6月に国連の取りなしで
スウエーデンに政治亡命。現在安住の地となったスウエーデンで夫、娘、息子の四人で暮らして
いる。
中国の強制収容所の実態については現在も積極的に発言を行い、その活動に対して2020年に
アメリカ国務省から勇気ある女性賞、2021年にはニュールンベルグ国際人権賞が授けられた。