ラスト・チャイルド ジョン・ハート(著)2010年4月発行
ミステリと呼ばれるジャンルの小説なのだろうが、とても深く濃い。
親子、兄弟、愛、悲しみ、寂しさ、罪、許し、信頼、、、、
それらの要素が絡み合っていて、緊張感溢れる小説だった。
失踪した妹を探すジョニーの物語という形をとり、
事件の真相を追及していく過程のスリルを味わいつつも、
それと同時に人の心を揺さぶる物語でもある。
ミステリということなので、内容は詳しく書かない方がいいと思うが、、、
13歳の「ジョニー」が主人公で、1年前に失踪した双子の妹「メリッサ」を一人で
コツコツと捜索する話。
「メリッサ」失踪により、ジョニーの家族は崩壊。
父が行方不明に、その後、母は薬物に溺れる生活に陥ってしまう。
そんな最悪な状況でも、ジョニーはひたすら妹を探し続ける。
妹が見つかれば、元通りの家庭に戻れる、幸せだった家族に戻れる、と信じて。
危険な目に合いながらも妹を探し続けるジョニーを
親友「ジャック」が手助けするのだが、ジャック自身も家族との深刻な問題を
抱えている。
メリッサ捜索担当の「ハント刑事」は、メリッサを発見出来ない自責の念を
感じながらも、ジョニー親子を助けたいと手を差し伸べようとする。
が、彼も仕事に熱中するあまり、妻が家を出、息子にも背を向けられる、という
家族の問題を背負っていた。
メリッサ探しをするジョニーの動きにより、事件は予想外の展開をみせ、
新たな事件の発覚や殺人が起こり、息をつかせぬ緊迫感に溢れる物語となる。
しかし、全編を通じて、私の心に迫ってくるテーマは『家族』だった。
幾つかの家族が登場し、それぞれに傷や憎しみを抱えこんで、身動きが出来なく
なっている。もちろん、そこにはそれぞれに『愛』もあるので厄介なのだ。
そんな状況下、逆境にあり追い詰められていながらも、
ジョニーが父親や母親、たった一人の親友を信じようとする意思の健気さ、
そしてブレない行動に、不覚にも涙してしまった。
冷静に考えれば、13歳の少年にしては出来すぎなのだが・・・。
この小説は、家族の苦悩、家庭の崩壊を鋭く描くだけではなく、読者である私達に
家族や友情とは一体何なのか?と問いかけてくる。
誰にでも過ちや間違いはある。それが許されるものなのか?許すことができるか?
少年ジョニーや親友ジャック、母親キャサリン、そしてハント刑事の苦しい心情が
圧倒的に迫ってきて、つらく切ない。
事件の真相は、なんとも救いのない結末に思えるのだが、エピローグのジョニーが
書く手紙の宛名に、ホッとさせられた。
ここに作者の、愛や友情に対する考えが現れているのだろう。
これによって救いのない物語に、未来が見え、温かさを感じた。
感動の一冊。
わがまま母
ミステリと呼ばれるジャンルの小説なのだろうが、とても深く濃い。
親子、兄弟、愛、悲しみ、寂しさ、罪、許し、信頼、、、、
それらの要素が絡み合っていて、緊張感溢れる小説だった。
失踪した妹を探すジョニーの物語という形をとり、
事件の真相を追及していく過程のスリルを味わいつつも、
それと同時に人の心を揺さぶる物語でもある。
ミステリということなので、内容は詳しく書かない方がいいと思うが、、、
13歳の「ジョニー」が主人公で、1年前に失踪した双子の妹「メリッサ」を一人で
コツコツと捜索する話。
「メリッサ」失踪により、ジョニーの家族は崩壊。
父が行方不明に、その後、母は薬物に溺れる生活に陥ってしまう。
そんな最悪な状況でも、ジョニーはひたすら妹を探し続ける。
妹が見つかれば、元通りの家庭に戻れる、幸せだった家族に戻れる、と信じて。
危険な目に合いながらも妹を探し続けるジョニーを
親友「ジャック」が手助けするのだが、ジャック自身も家族との深刻な問題を
抱えている。
メリッサ捜索担当の「ハント刑事」は、メリッサを発見出来ない自責の念を
感じながらも、ジョニー親子を助けたいと手を差し伸べようとする。
が、彼も仕事に熱中するあまり、妻が家を出、息子にも背を向けられる、という
家族の問題を背負っていた。
メリッサ探しをするジョニーの動きにより、事件は予想外の展開をみせ、
新たな事件の発覚や殺人が起こり、息をつかせぬ緊迫感に溢れる物語となる。
しかし、全編を通じて、私の心に迫ってくるテーマは『家族』だった。
幾つかの家族が登場し、それぞれに傷や憎しみを抱えこんで、身動きが出来なく
なっている。もちろん、そこにはそれぞれに『愛』もあるので厄介なのだ。
そんな状況下、逆境にあり追い詰められていながらも、
ジョニーが父親や母親、たった一人の親友を信じようとする意思の健気さ、
そしてブレない行動に、不覚にも涙してしまった。
冷静に考えれば、13歳の少年にしては出来すぎなのだが・・・。
この小説は、家族の苦悩、家庭の崩壊を鋭く描くだけではなく、読者である私達に
家族や友情とは一体何なのか?と問いかけてくる。
誰にでも過ちや間違いはある。それが許されるものなのか?許すことができるか?
少年ジョニーや親友ジャック、母親キャサリン、そしてハント刑事の苦しい心情が
圧倒的に迫ってきて、つらく切ない。
事件の真相は、なんとも救いのない結末に思えるのだが、エピローグのジョニーが
書く手紙の宛名に、ホッとさせられた。
ここに作者の、愛や友情に対する考えが現れているのだろう。
これによって救いのない物語に、未来が見え、温かさを感じた。
感動の一冊。
わがまま母