テスカトリポカ 佐藤究(著)2012年2月発行
驚愕、というのか、、、予想以上の衝撃を喰らい、眩暈が。
世界史や海外旅行が好物の身ながら、中南米(マチュピチュを除く)の文明は肌に合わず、
避けていたはず。なのに、『幽玄F』を読み、迂闊にも著者の小説をもっと読んでみたい、
などと思い、つい本書を手に取ってしまった。
結果、かなり具合が悪くなるようなシーンも多く、途中で止めようと何度か思ったが、
なんとか読了。
臓器売買ビジネスなどは知っておいた方がいいのだろうな、、、と、非情さ残酷さに
耐え、勉強と思い我慢し読み進むも、元々苦手だったアステカの神々信仰の行事、風習の
かなりリアルな表現には、やはり吐き気が。
現代社会の闇の興味深い世界が、もの凄い調査力により残酷なまで克明に描かれており、
暗黒ながらも小説として鋭く面白く素晴らしいのは間違いないのだが、
覚悟を持って読まないと気持ちが悪くなる可能性もあり、万人向きとは言いずらいかも。
いや〜、圧倒的に迫ってくるこの小説を書くため、どれだけの準備と体力を要したのだろう・・・
と想像し、感服するのみ。
わがまま母
— カドブンより —
メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。