隣りのアボリジニ
小さな町に暮らす先住民
上橋菜穂子(著)2000年5月発行
著者は、オーストラリアの先住民“アボリジニ”を研究している
文化人類学者であり大学の教授だそうなのだが、
私はこの本を読むまで、
『精霊の守り人』の守り人シリーズ、『獣の奏者』などの
ファンタジー小説作家としてしか認識していなかった。
著者は文化人類学の研究テーマとして“アボリジニ”に興味を抱き
遠い西オーストラリアの田舎町に仕事をみつけ数年間を現地で暮しながら、
アボリジニの友人知人との交流を模索し、
彼らを通じ遥かな地方集落まで出向き、
都会のアボリジニ、田舎に住むアボリジニ、白人との混血2世3世のアボリジニ、
と接し彼等の話しを聴き、彼等の歴史を紐解き、その生活をみつめる。
その一方で、現地オーストラリア人から見たアボリジニの姿も書いていて、
ともすると、不可思議な伝統を引き継ぎ自然のなかに暮らす特殊な人達、と
イメージしがちな我々にも、それだけではない現在のアボリジニの現状を
理解しやすく伝えている。
内容は、本の案内文で以下のように紹介されていた。
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独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然の中でいきる「大自然の民アボリジニ」
そんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、
多くいる。
伝統文化を失い、白人と同じような暮しをしながら、なお「アボリジニのイメージ」
に翻弄され生きる人々・・・
その過去と現在を、アボリジニの視点と白人の視点を交差させつつ、
いきいきと描く。
多文化主義オーストラリアのもうひとつの素顔。
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わがまま母