遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

疑心

2009年08月31日 14時28分41秒 | 読書
           疑心 
              隠蔽捜査3      今野敏(著)2009年3月発行

   私は今回初めて読んだのですが、シリーズ第三弾目です。
   『隠蔽捜査』で吉川英治賞を、『果断』(隠蔽捜査2)で山本周五郎賞と
   日本推理作家協会賞の二冠に輝いたベストセラー作家なのだそうです。

   警察小説というので、好みのジャンルではなかったのですが、新聞広告で
   見掛けて「面白そう、、、」と読んでみました。
   「勘」は外れず、確かに面白かったですよ。
   熱烈なファンからは、叱られそうな感想で申し訳ないですが、、、。
    
   警察内部事情、警察官僚との葛藤などが、難しくなく描かれていました。
   対談かなにかで、著者が語っていましたが、
   絶対的ヒーローよりも、組織対個人のかかわりや、組織対組織の政治に興味
   があり、スーパーマンより、戦隊物が好み。
   なので、組織で動く警察小説を書くようになったそうです。

   主人公の「竜崎」は警察キャリアだったが、左遷され大森署長としての日々   
   を送っていた。ところが、突然、米国大統領の訪日の方面警備部長に任命さ
   れてしまう。(組織内の陰謀?)
   戸惑いながらも、任務を遂行する竜崎の元に、元部下で美貌の女性キャリア
   が警視庁から派遣されてくる。彼女の存在に動揺を隠せぬ竜崎だが、更に
   大統領にシークレットサービスからは、テロの情報がもたらされ、
   羽田空港閉鎖を要求される。
   なんとしても、空港閉鎖を避けたい竜崎の選択は・・・。

   話は、小気味良く進むので、読むのはアッという間だが、今回に限っては、
   仕事人間、謹厳実直なる中年男性の揺れる男心が、かなりのスペースを占め
   ていて、なんとも悩ましくも可愛いかった。
   竜崎が、恋心に翻弄され心身とも参っている時に、恋への対処法として、   
   書店で『葉隠』を探すあたりでは、思わず苦笑してしまった。
   書店で、結局『禅』関係の本を三冊買い、その中の一冊の「公案」という
   禅問答について書かれた本に「婆子焼庵」という不可思議なエピソードが
   出てくる。
   意味不明の公案の解釈に悩む竜崎だが、そこにこそ彼が救われるヒントが
   あることに気づくことになる。
   竜崎という男の、彼らしいといえば彼らしい解決法なのかもしれない。
   私は、今回偶然に「おまけ」の入った作品を読んだみたいで、チョッと
   得をしたのかな? 楽しかったもの。
   (「婆子焼庵」の謎を知りたい方は、本を読んでみて下さい。)
  
   残念なことに(?)
   第四作は、キチッとした竜崎本来の姿に戻るらしいですよ。

    わがまま母
   
   
コメント
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