遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

立春に読んだ本は、

2008年02月04日 19時16分00秒 | 読書
  「ミノタウルス」    佐藤亜紀

 20世紀初頭、ロシア帝国末期のウクライナでの話です。

 第一次大戦直前の時代設定、ウクライナの田舎で
 やっとの思いで地主になれた階級の父親、母親、
 軍人の兄、学校を途中でやめ家で好き勝手に暮す次男
 の家族とそれを取り巻く当時の地主や小作人の暮らし
 が、あたかも映像で観ているかのようだ。

 文章に無駄がなくぐいぐい引き込まれて読んでいくが、
 途中でちょっと気持が悪くなるのも否めない。
 (暴力や戦闘シーンが多く)

 主人公の地主の次男のどうしようもない生き方。
 オーストリア軍に捨てられたドイツ人ウルリヒ。
 当時のロシアの赤軍、白軍、私設の軍隊といえぬ
 ような(盗賊よりひどい)集団。

 これら登場する人、グループのすべてが、凄まじい
 暴力で駆け巡る。

 知らずに読んだら、私はきっと翻訳本と思ったに
 違いない。
 それほどリアルで臨場感のある、その時代のロシア
 がビシビシと感じられる。

 最後のシーンは、ちょっと「明日に向かって撃て」を
 連想したけど、それさえロマンティック過ぎるかも。

 以前、佐藤賢一の小説を読んだ時に感じたものに、
 少し似たような感覚を覚えた。

 それにしても、この本は凄い!です。

 と今日は、昨夜一人で豆まきをしたらしい母
 (廊下のあちこちにお豆が落ちていた笑)
 の確定申告を助ける為に往復したバスの中で
 読みました。

 (ほんと、人間の命なんて、ちっぽけ過ぎる、
  空し過ぎると呆然としてしまう内容に)
 手の指先が冷たくなり、色んな意味で震えが
 止まらなくなるような衝撃と迫力です。

  <ミノタウルスとは、ギリシャ神話に出てくる
  半人半獣のことなのかなー?
  多分そうだろうな。この本にぴったりの題名だもの>

      わがまま母
 
コメント
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