さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

前々日の雑感

2011-11-11 10:53:12 | マニー・パッキャオ
いよいよこの週末は、毎年好例、11月第二土曜日(日本時間日曜日)のビッグファイトの日ですね。
5月第一土曜日と、この日に米国のビッグファイトでメインを張る人が、その時々における
ボクシング界ナンバーワンのボクサーであると言えましょうが、ここ数年その地位を独占している
マニー・パッキャオ大先生がやはり今回も登場です。

相手は、パッキャオが米国進出後、最も彼を苦しめた男、ファン・マヌエル・マルケス。
初戦フェザー級でドロー、二戦目スーパーフェザー級で僅差パッキャオ、という結果を受けての第三戦です。


さてこの試合、よく言われているのが、ウェルター級で強豪相手に圧勝続きのパッキャオに比べ、
マルケスはウェルター級ではパワーが足りない、従ってパッキャオ有利、という見方です。

確かにその通りなんですけど、マルケスがウェルター級で闘った試合は、メイウェザー戦だけであり、
あの選手は言ってみれば異次元の世界の人で、あれに完敗したからマルケスはウェルターでは駄目、と
言い切れるものかどうか、私は疑問に思ったりもします。

メイウェザーは傍目に見る以上に、差し向かいで闘うボクサーの能力を削ってしまう巧さがあり、
仮にパッキャオがメイウェザーと闘ったとして、今までの試合のように滑り足よく攻めていけるかどうかは
何とも言えないでしょう。
マルケスがメイウェザーに完敗したことをもって、ウェルターでのマルケスを軽く見ていいのかどうか。
私は、そんな簡単にはいかんでしょうあのお方は、という見方をしています。


むしろ、体格やパワーよりも、マルケスから見て脅威なのは、パッキャオの技術面の成長ではないでしょうか。

過去二試合、パッキャオは瞬発的な攻撃の凄さでマルケスを脅かしましたが、
防御を含む総合的な力量では、どちらの試合でもマルケスが上、という印象を持ちました。
初戦はパッキャオが初回三度のダウンを奪いながら巻き返しを許し、
二戦目はマルケスがサウスポーの左強打を受けずに済む位置取りをしているところを、
常識外れの肩のひねりを効かせた左でダウンを奪っておきながら、
またも巻き返しを許して僅差の判定に持ち込まれています。

ところがこの二戦目の次、ライト級に転じてデビッド・ディアスに圧勝した試合から、
パッキャオは目に見えて防御技術が向上し、右リードも多彩になり、
総合的に一段上のボクサーになりました。
頭の位置を立体的に変え、細かいステップによる繊細な位置取りをし、右リードが多彩になり、
コンビネーションパンチの緩急、強弱のつけ方が抜群に巧くなりました。
それまでのややもすると左強打に頼りがちだった彼とは別人のような、
それまでのスピードとパワーだけでなく、決め手を持ちながら布石の部分が充実した、
時代の最先端を行く、質の高い攻防一体のボクサーになりました。

今回の試合は、この技術面で成長したパッキャオが、かつて自分を苦しめたマルケスとぶつかった時、
以前の二試合とはまた違った形での激しいせめぎ合いが見られるのではないか、という期待があります。
大袈裟に言えば師匠と弟子のようだった両者の技術的な面で、弟子が師と肩を並べるのか、越えるのか。
或いは師が、まだまだ劣らぬというところを見せるのか。見所の多い試合になりそうです。



後は、この一戦に賭ける、マルケスの闘志にも注目でしょうね。

過去二試合の、いずれも僅差で勝利を逃した結果に、マルケスは納得していない旨を
再三語っているようですが、彼には、自分自身のボクシングに対する揺るぎない誇りがあり、
それが現在の彼を支えているのでしょう。
年齢的に、もう若くはなく、メイウェザー戦ではひたすら苦境に耐え続け、
カツディス戦でも激闘を繰り広げ、この二試合で続けてダウンしている現状は、
けっして明るいとは言えません。

それでもなお、このパッキャオ戦に賭ける意気込みがあるからこそ、
彼は闘い続けていられるのでしょう。
この一戦において、ここまで彼を支えてきた誇り、闘志がどのような形で表現されるのか。
そして、どのような結末が待っているのか。

ひとつだけ確かなことは、この試合の内容と結果がどうあろうと、この試合は真に世界の頂点を争う
数少ない真の王者、英雄同士の激突であり、闘われずには済まない、
闘われなければならないものである、ということです。
過去の二試合の内容を見るだけでそれは充分に証されている、と私は思っています。

現在、ライト級最強と目されるメキシカンと、
米大陸のボクシングマーケット史上初のアジア人スーパースター。
126ポンド、130ポンドで闘ったこの両者の、3度目の対決。
過去に類例無き、比較する事例の無いマッチアップです。



こういう試合をまたまた生中継で見られる、毎度同じことを繰り返しますが
有り難いことであります(^^)日曜日が楽しみですね。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする