昨日のFODプレミアム感想文ですが、セミ、メインと凄い試合が続きました。
セミだけで正直、充分おなかいっぱいでしたけど、メインがこういうことになるとは、正直思っていませんでした。
日本スーパーウェルター級タイトルマッチ、出田裕一と加藤寿の「79歳対決」は、王者の出田裕一が二度ダウンを奪って5回TKO勝ち。
しかしサウスポー加藤が、上手く距離を取って左ストレートをヒットし、王者を苦しめる展開。
加藤のフットワークは、このタイトルマッチに向けて、ボクサー人生の総決算というか集大成というか、並々ならぬ意欲で仕上げてきたのだな、と見ていて伝わってくるもの。
質量共に出田を苦しめるに十分なもので、ここに不足ありと思っていたら、違いました。脱帽です。
しかし出田が執拗に迫り、かなり打たれながらも4回、サウスポーの死角から左フックを決めて、右フォロー。加藤をダウンさせる。
ところが立った加藤が逆に連打で猛攻。出田を打ちまくる。ぼんやり見ていたら、今倒れたのどっちやった?と間違えてしまいそう。
場内騒然となる中、出田が凌いで右を打ち込み、二度目のダウン。加藤また立って、懸命に反撃。凄いラウンド。
これまた年間ベストラウンド賞にノミネート、という感じの3分間でした。
5回、加藤は足使って打って、と懸命でしたが、出田が攻めるとぐらつき、またロープに追われて連打。加藤の腰が落ちかけたところでレフェリーが止めました。
あまり感傷的なことばかりを押し立てるのもどうかと、いつもなら思うところですが、大ベテランの域にあるふたりが、これまでのボクサー人生で培ったものを全て見せ、出し切った闘いには、単に激しい試合だったからというのみならず、目を、心を惹かれるものが充分にありました。
勝敗を越えて、両選手に拍手したいと思います。
セミは天才肌のサウスポー、富岡浩介が、強打の苗村修悟を7回KO。
強打を振るって迫る苗村を、富岡の遠目からのワンツー、左ストレートが再三捉える展開。
4回、内から外から上から下から、左を巧みに打ち分ける富岡がヒットを重ね、苗村がロープにバウンド。ダメージ深い。
富岡スピードのある詰めの連打。激しい攻防ながらよく見て当てる。最後は間を空けて冷静に狙った左、苗村をダウンさせる。
これは相当効いたと見えたが、5回以降、苗村はそれと見せずに反撃。右から左の返しを強振し、あわやという打ち合いに持ち込む。
苗村、ヒットを重ねて受けながら怯まず出て、左フック浅いながら当てて迫る。
しかしここで、以前とは違う?集中の高さを見せる富岡、常に目をカッと見開いて、苗村をしっかり見て外し、迎え撃つ。
苗村の強振に対して、小さいパンチをインサイドに入れ、身体が当たっても負けない。緩まず怯まず、動いて外す。
7回早々、左カウンター決め、タイミング合わせは済んだか。苗村の攻めを止めて、左ストレートを真ん中へ。まともに決まって苗村、ダウン。
立ったが精一杯と見たか、レフェリーが止めました。
富岡浩介、フライ級でコンディションもよく、心身共に充実の闘いぶりでした。
負けもある選手ですが、今回の出来ならば、上位進出もいよいよ、本格的に期待して良いでしょう。
闘志満々、迷い無く攻めてくる苗村相手に、しっかし動いて外し、なおかつ怯まずに迎え撃ってもいた。
単に速くて、センスがあるだけでなく、芯の強さも感じられた試合ぶり。見事でした。今後、さらに期待し、注目したいと思います。
いつもは地味だカードが弱いだと文句ばかりのFODプレミアムですが、今回はメイン、セミとも充実というか「見せてもらえた」印象でした。
基本、FODプレミアムはボクシングを見るためだけに契約していて、他のコンテンツは全く見ないので、実質、三迫枠ダイヤモンドグローブと、大橋枠フェニックスバトルを月一回見ているだけの、実質PPV状態なんですが、今回は文句なし。
非常に満足でした。雰囲気というか絵面自体が地味なことに変わりはありませんでしたが...(笑)。
加藤さんもジャブや左アッパー、ボディアッパーなど練習した後伺え、よく戦っていました。
ただ惜しいのはアッパーにモーションかかるのと、打った後に動かず頭が正面に残って止まる時間があった事。
2ラウンドに右狙われていましたが、4ラウンドにもまたせっかくグラつかせたのに頭の位置が悪く、右撃たれたのはもったいなかった。
いや二人とも良かったんですよ。ただ日本タイトルとしてレベルはどうかというと…かつてのキムさん、石田さん、野中さんたち知ってる世代としてはね。この出田さんをあっさり倒せる人材の台頭に期待します
良い試合で、見どころ充分でしたが「レベル」の話をすると確かに、言われる通りの面がありますかね。左右田vs豊嶋戦が挑戦者決定戦で、これは豊嶋有利と見ますが、そこがひとつのヤマになるでしょう。
確かにクレイジー・キムや、暫定ながら世界に届いた石田順裕、国内のライバル対決を重ねた野中悠樹と比べると...井上岳志が「降りてきて」闘うこともないでしょうしね。健闘、敢闘としては大いに称えたいですが。