ということで今日は未明からやっていたU-NEXTのライブ配信、感想です。
メインは結局、午前6時半くらいからでしたかね。三団体ヘビー級の世界タイトルマッチ、オレクサンドル・ウシクとダニエル・デュボアの一戦でした。
ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオメッセージに登場したのち、場内はウクライナ人ウシクへの声援で埋め尽くされている感。
序盤、小柄ながら220ポンド以上の肉体をほぼ完成させつつあるウシクが、振りの小さい右ジャブを当てて行く。
数は多くないものの、このジャブに牽制されたデュボア、手数があまり出ない。
3回、ウシクの左が伸びて、ヒットは浅いものだが、打ち抜いたような軌道にも見え、場内から歓声上がる。
ポイントはいずれもウシクに振り分けられるだろう、という内容。
デュボアはパワーを生かして、攻める回数を増やし、ウシクを脅かしたいところだが、少ない攻防で精度を比べ合う展開になっている。
ウシク攻略の鍵は、ウシクとアンソニー・ジョシュアの二試合、特に二試合目に見えた、ジョシュアのボディ攻撃に苦しむウシクの姿が、当然ヒントになろう、と思っていたが、デュボアはここまで、右アッパーが一度あったか、あとはヒットらしいものがない。
この流れでウシクが当てて行き、打たれ脆い(負傷歴も含め、不安あり)デュボアを捉えるかと思っていたところ、屋外の会場に雨が落ちてくる。
リングの上に屋根などは組まれていないようで、4回、ウシクが足元を気にしている。
この回、デュボアが右フック、アッパーにショートなどを繰り出す。ウシクも左ダイレクトを返すが、デュボアが初めて抑える。
そして5回早々、トラブル。デュボアの右アッパーがボディへ決まり、ウシクが一発で崩れ落ちる。
しかしローブローの裁定。スローで見ると、ベルトラインに入っていて、確かに低い。下腹部に入っている。
もっと小さい試合、違う階級、地元か敵地かで、このくらいならローブローと見てもらえない可能性もあるかもしれない、かも...というパンチだったが。
何しろダメージがどう、という以前に、ここまで緻密にヒットを重ねてきた試合の流れが、一旦断ち切られるという意味で、ウシクにとっては痛い一発。
再開すると、デュボアは臆せず右をボディに伸ばし、手数を増やして攻勢を取りに来る。勝負師としては当然。
しかしウシク、これまた臆せず右を伸ばして「邪魔」をし、ジャブから懐取りに行くなどして、また流れを取り戻す。
ワンツー、左ヒット。ロープ際でデュボアをのけぞらせ、右アッパーリードから左へ繋げる。
ここにきて見せていない攻め口がまだある。良い時ほど違うことをやる。レベルの高さが垣間見えるところ。流石。
ラスト、ウシクが左当て、ゴング鳴ったあとにも一発。デュボア右返し、少しエキサイト。ウシクが「逆転」で取った回。
6回、デュボアの右を小さいダックで外したウシク、左カウンター、右まで返す。
デュボア、またウシクのジャブやワンツーの間合いでやり合う流れに戻ってしまう。終盤、右から左ボディを決めるが、ポイントは取り切れていない?
ウシクはサウスポーの泣き所、前に出ているレバーを打たれたくはないところ。
7回、デュボア引き続きボディを狙って出る。しかしウシク、左アッパーにフックとヒットを取り、デュボアの身体が一瞬浮く。
ウシク追撃、デュボア返すが、力感が目減りしている。試合の流れがここで決まるか、という展開。
ラスト、ウシク左ヒット、逃れるデュボアにまた左。ウシクの回。
8回、ウシクの右アッパーがリードで出る。デュボア、右返すがウシク、際どくブロックしたか。
ウシク、右ジャブ決める。コツコツと追撃。ダブルジャブから左、ワンツー、デュボア止まり、ウシクの左アッパーかすめると、膝をつくダウン。
デュボア立って、直後にゴング。ダメージの蓄積が見えたダウンでした。
9回、デュボア右振るうが、ウシクが右ジャブから左をパスして右フック。小さいコンビがヒット。
デュボアいよいよ、的にかけられている、という状況。そこにウシクが軽いワンツー、そして間を空けず、少し伸び上がるように右を決めると、デュボアダウン。
片膝付いた姿勢でカウントを聞いていたが、立ったところでレフェリーがストップしました。
最後のパンチは、軌道自体も、スナップによる打ち方も、純然たるジャブでしたが、ダメージの蓄積に、攻め口の妙、組み立ての巧さが相まって、見事なフィニッシュブローとして成り立つものでした。
デュボアの耐久力が、世界ヘビー級王座を争奪するレベルにおいては、若干心許ない面もあったにせよ、なかなか見ることのない、見事なノックアウトだったと思います。
ラリー・ホームズがオジー・オカシオを倒した左ジャブによるダウンシーンは、ヘビー級史に異彩を放つ名シーンですが、趣は違えど、あれに続くものを見たような気がしますね。
5回のローブローによるダウンは、一瞬有効打に見え、ウクライナの夢を、希望を背負って闘う英雄ウシク、その悲壮を見ることになるのか、と思いましたが、終わって見れば順当に、技術と体力、闘志のいずれも、王者と第二王者の格の違いを見せた、という試合になりました。
母国の苦難、そのただ中において、ボクサーとして成すべきことを、これ以上無いほど、見事にやり切ったチャンピオン、オレクサンドル・ウシクに拍手、です。お見事でした。
アンダーは、セミセミくらいから、ぼけーっと見ていました。
ああ、この選手、荒川仁人のラストファイトの相手だったなあ、とか、ハメドの息子の試合は「なんじゃこりゃ」とか、それなりに思いながら、徐々に目を覚まし、メインに備える、という具合でありました。
配信は実質、2時頃から始まったようですが、長谷川穂積と岩佐亮佑のご両人がダブル解説でした。
あの時間から、終わったのは8時前くらいだったんですかね?何しろ長丁場で、早く終わった試合が多く、合間が空いて大変だったと思います。お疲れさまでした。