さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

挑み続けた日々の輝き、最終回の右拳 玉越強平、若き逸材・内藤律樹に敗れる

2014-06-14 20:31:20 | 関西ボクシング


ここのところちとあれこれありまして、まあ珍しいことでは無いですが、更新が滞っておりました。
とりあえず、というと何ですが、これだけは何か書かねばという試合が月曜にありましたので、取り急ぎ。


ということで玉越強平、6度目の挑戦は残念ながら実らず、という結果になりました。

陣営に与しているわけでなく、詳らかに何もかもを知るわけではない、ひとりのファンとしての立場から
目に見える範囲でいうと、過去のいくつかの試合から感じた悲運のようなものは、何一つ無かった。
簡単にいうと、王者である内藤律樹の素質と成長が、歴戦のベテランを退けた、という試合でした。

玉越が懸命に左を出し、右を狙っても、どうしても内藤の左ストレートを外しきれず、打ち負ける。
あの左に対し、右側に身体を逃がすしかなかった時点で、両者の力関係が見えてしまったように思えて、
その即断がどこかで、爆発的な何事かによって覆りはしないか、という望みを抱きつつ見ていましたが、
残念ながらそのような、甘い願望は実現しませんでした。

だから最終回、何度か内藤を確かに捉えた右ストレートには、見ていて感情を揺さぶられました。
ダメージを抱えた終盤において、もはや相手の内奥に突き刺さる牙ではあり得なかった、
しかし玉越の闘志を十全に表現した、右拳。

玉越強平は、日本の王座には届かなかったけれど、彼が歩んだ、果敢に挑み続けた日々は、
やはり長らく彼の試合を見続けてきた私にとって、とても輝かしいものでありました。
彼がその生き様で固めた拳を振るい、力及ばず敗れて、でもその姿を見ていて感じた清々しさは、
やはりボクシングでなければ感じられない何事か、です。

それを与えてくれた玉越強平の闘いと、彼が闘い抜いたこれまでの日々に、感謝と敬意を表したいと思います。


そして勝者、内藤律樹の成長ぶりにも、目を見張らされました。
前の試合の感じだったら、玉越にも十分な勝機あり、と見ていましたが、
あれほど従来の素質が生きたまま、力強さを感じる闘いが出来るとは、予想していませんでした。

玉越強平の勝利を願って試合を見ていた私の目にも、最後の方になると、
こういう強い王者が玉越の挑む相手であってくれて良かった、と思ってしまうくらいでした。
今後が本当に楽しみな逸材であり、さらなる順調な成長を願わずにはいられません。


私情で言えば残念な結果、でもそれを抜きにして言えば、素晴らしい試合、でした。
これ以上のことを言うことも書くことも許されない、と納得出来るような...
いや、しなければならない、と思うような、というのが実際のところでしょうか。


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WOWOWオンデマンド放送の二試合についても、ちょこっとだけ。

ノニト・ドネアのフェザー級での戦いは、こちらが思う以上に困難なものとなりそうで、
見ていて様々な思いが交錯しました。シンピウェ・ベチェカの力については、いまだどう見ていいのか
判断に迷うところですが、あの悪い展開の中でも、たった一度とはいえ牙を剥いて見せるドネアの、
「バンタム級最強ボクサーの、フェザー級での健闘」ぶりは、流石である、とは感じました。

マルチネスvsコットについては、これがいわゆる「余分」の一試合というやつなのだな、というに尽きます。
やるべき試合ではなかった。ああいう試合を見たいとは思っていませんでした。
ミドル級におけるミゲル・コットには、今回の勝利を背負った上で、さらなる苦難が待っているのではないかと想像します。
もっとも、そういう苦難をまともに被らずに生きていく道がどこかにある、それが今時のボクシング界なのでしょうが。


コメント (4)
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