さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

挑戦すればこそ、敗れても栄光がある 荒川仁人、敗北も「メジャー入り」果たす

2013-07-30 20:57:35 | 関東ボクシング

日曜日のお昼前、ネットで生中継を見ることが出来たのですが、
WOWOWは翌日放送でもあり、感想はその後に書こうと思っておりました。


荒川仁人はオマール・フィゲロアに大差で敗れました。
しかし、テキサスの大観衆を驚嘆させるほどの闘志、粘りを見せつけ、
試合後のメディアの評価も高く「もう一度アメリカのリングで闘う
荒川の姿を見たい」という意見もあったそうです。
敗れた選手に対するものとしては、最大級の賛辞だと思います。

これはつまり、荒川は昨年のエストラーダ戦、そして今回のフィゲロア戦により、
米国のリングにおいて、世界上位クラスのボクサーたちが形成する
「メジャーリーグ」の一員として認知された、という理解でいいのでしょう。
結果としてタイトル奪取はなりませんでしたが、彼は日本人ボクサーが
なかなか辿り着けない地位、境地を得るに至ったのだ、と。


ただし、米国のメディアが、あの内容と結果をほぼ手放しで称えるということは、
それだけ事前に荒川の実力を評価していなかった、という裏返しかもしれません。
普段から荒川のボクシングを見ている者の視点からすると、
日本、東洋のレベルでは露呈しなかった荒川の「不足」が何か、をいうことを
あらゆる角度から見せられてしまった、とも感じる試合でもありました。

闘い方としては、本人のコメントにもありましたが、序盤から
正対しての打ち合いに応じてしまい、好打されてダメージを負うという
実に悪いスタートだったのが、後々に尾を引いてしまいました。

そのダメージのせいも当然あるのですが、それを割り引いて考えても、
やはりGBPが売り出すスター候補、フィゲロアと荒川の間には、
パンチの力、精度、緩急、多彩さや、ディフェンスの技術、能力に、
大差ではなくとも、僅かながら確かに差があったことも事実です。

荒川は接近した際に頭の位置を変える動きが僅かに足りず、
さらに、ガードに穴が空いたところを打たれ、
攻めては連打をヒットして攻勢を取れても、同時にどうしても単調になり、
好打は出来ても強打が出来ず、リズムを読まれて反撃を受けました。

これらは、これまで日本でやっていた試合では、あまり見られなかった場面です。
ことに私は、OPBF戦での大苦戦、判定に批判もあったという試合を見ておらず、
彼が快勝する試合しか見たことがないので、余計にこのような部分が気になりました。


とはいえ、改めて今回の荒川の闘いぶりは、大いに称えられるべきものだと思います。
荒川がフィゲロアに、或いは他のライト級の世界的選手に勝つためには
「熱戦」「好ファイト」とは違う試合をしないといけないのでは、と思いもしますが、
それにしてもあの奮闘ぶりは、見る者の心を揺さぶるものでした。

米大陸のリングにおいて、ただ勝った負けたという次元を超えたところで
メディアやファンの賞賛を集めることが出来る日本人ボクサーなど、
そうそう出るものではありません。
敵地で、若き強豪相手に、ライト級という伝統のあるクラス、
どの角度から見てもレベルの高い、真の意味での「挑戦」でしたが、
そういう険しい闘いに挑む者しか掴めない、結果とはまた別の「栄光」がある。
荒川仁人は、それを私たちに教えてくれたように思います。


今回、見るからに甚大なダメージを負った様子でしたが、
しっかり休養を取ったのち、彼自身が懸命に闘って手にした
「メジャーリーガー」の地位をもって、再び、米大陸のリングで闘う
荒川仁人の姿を見たい。ファンの勝手ですが、強くそう思っています。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする