遊煩悩林

住職のつぶやき

迷妄

2024年03月31日 | ブログ

先日のお彼岸。

その"入り"の日の『中日春秋』。

 1年間の禁酒を約束した男がいる。が、どうしても、お酒を飲みたい。そこで夜だけ飲むことにして代わりに「禁酒期間」を2年間に延ばした。友人がさらに提案する。「禁酒期間」を3年にすることにして、昼も夜も飲めることにしたらどうか。おなじみの小咄(こばなし)だろう▼期間を延ばしても、これでは禁酒にはならない。妙な理屈をこしらえては決めたことを破ってしまう人の弱さがおかしくも、悲しい▼心配性の小欄は時代があの男と同じ道をたどっているような気になってしまう。「禁酒」ではなく、戦後日本が立てた「平和主義」という決めごとである。日英伊3カ国で共同開発する次期戦闘機を巡る問題で、自民、公明両党は日本から第三国への輸出を解禁することで合意した▼武器輸出三原則さえ遠い昔で、時代を追うごとに武器輸出に抑制的な方針は弱められ、とうとう人をあやめる戦闘機まで輸出する国となる▼輸出したい事情や理屈はもちろんある。安全保障環境は緊迫化しており、高性能の戦闘機で備えたい。生産コストを抑えるため第三国への輸出を認めなければ共同開発がうまく進まない-。ただ、どんなに理屈を並べ、条件を加えようとも紛争を助長しかねない戦闘機を輸出できるのであれば、「平和主義」という国の決めごとは怪しかろう▼禁酒中と言いつつ、昼夜なく、だらしなく酒をあおる男が見える。「中日新聞」3.17

どうしてこのコラムを思い出したか。

SNSで故 中村哲 さんの言葉が挙がってきたから。

人間にとって本当に必要なものはそう多くはない。少なくとも私は「金さえあれば何でもできて幸せになる」という迷信、「武力さえあれば身が守られる」という妄信から自由である。

と。

それが迷信であると、妄信であると見抜くには何が必要か。

「人間にとって本当に必要なものはそう多くはない」と。

本当に必要なものは何か。

その問い。

この問いを、自分の問いとするところに大事なことがあるのだと感じました。

答えを誰かに委ねるのでなく、それを問うていく道。

連想に連想を重ねて

悟るといふても 迷うていることを 悟るのです

安田理深

4月の掲示板に書き出そうと。

 

さて、東本願寺の春の法要。2日は「全戦没者追弔法会」。

https://jodo-shinshu.info/2024/02/16/42579/

『追弔の偈』は大河ドラマで親しみのある本多 力さんの朗読。

そして、平川宗信さんのお話を心して聞かせていただこうと。

先のコラムの内容は平川先生がしばし懸念し、発信し続けておられることと被る。

「だらしなく酒をあおる男」は誰のことか。

他人事ではない。

迷うているとも知らずに酔いに任せる。

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