さて、2年ほど前にもやったことですが、毎日新聞の企画で政党候補者との政策一致度を測る「毎日ボートマッチ(えらぼーと)」というものがあります。来る衆議院選挙を前に解説されたこのコーナー、こちらのリンク先からお試しいただけますが、皆様いかがなものでしょうか。私の場合はこんなところでした。
……2年前のテストでは僅差で共産党との一致度がトップでしたが、今回は社民党と並びました。どうも最後の設問、北朝鮮との関係で共産党と意見が割れたのが響いたようです。基本的にハト派の共産党ではありますが、北朝鮮とは昔から険悪な関係なんですよね。今でこそ強硬路線一本槍の自民党の後塵を拝していますが、融和路線の自民党に対して共産党が対決路線みたいな時代もあったくらいですから。
その他、設問にはちょっと微妙なものもあります。問15の「年金の財源」という項目では「保険料方式」と「全額税方式」のどちらかを選ぶことになっているわけですが、この辺はいかがでしょう? 先に明言しておきますが、私は全額税方式であるべきだと思っています。ただし、「税」とは累進課税を基本とするもの、持てるものから持たざるものへと富を再分配するために機能すべきものでもあります。しかるに現時点で全額税方式と語る人の9割以上は「全額消費税方式」のことを指しているのも事実です。当然、逆進性の強い消費税は社会保障の財源としてふさわしくない、全額消費税方式に比べれば保険料方式の方がまだマシです。だからこの問15ですが、選択肢は左から順に「全額税方式」「保険料方式」「全額消費税方式」と3つに分けて欲しいなぁ、と思ったり。
これって「ポリティカル・コンパス」でも似たようなことがありますよね。「移民の受け入れには積極的になるべきだ Yes or No」みたいな。ここで「Yes」と答えれば、安価な労働力として外国人を「輸入」しようとしている財界と同じものを選ぶことになりますし、「No」と答えれば、今度は拝外主義者やレイシスト連中と同じものを選ぶことになります。結果的にはそのどちらかと一致せざるを得ないわけですが、どう選んでも何かが違いますよね? こういうこともよくあることです。
毎日ボートマッチに戻ります。問17最低賃金の項目ですが、最低賃金の引き上げに「格差是正に繋がるので賛成だ」もしくは「企業の経営を圧迫するので反対だ」の2つから選択することになっています。う~ん、最低賃金の引き上げには賛成ですし格差是正に関心がないわけでもないのですけれど、この選択肢も何かと物足りない……
そもそも現在のデフレがどれだけ異常なことか、ろくに意識されていないような気がします。モノの値段も賃金も下がり続ける、ある意味では経済的な豊かさを否定し精神的な豊かさばかりを追いかけたがる日本社会に合致しているのかもしれませんが、モノの値段も働く人の値段も緩やかに上昇し続けるのが正常な経済なのです。ところが日本ではインフレという言葉が病的な恐怖を以て受け止められ、現在のデフレスパイラルから抜け出そうという動きはことごとく否定されています。デフレに関しては全く気にしないくせに、インフレに関しては、その陰さえをも忌避する有様ですから。
カリガリに痩せ衰えてもなお、ダイエットに励むのと同じような感覚なのかもしれません。太ることだけは絶対に避けなければと、骨身を削って減量に励み続ける――それが「デフレは我慢できるけれどインフレは絶対ダメ」の日本経済です。でも、このままではいずれ息絶えてしまいます。そこは強引にでもモノの値段と「働く人の値段」を上昇基調に乗せない限り、負の連鎖からは抜け出せないでしょう。格差是正もさることながら、日本の「病的に」低すぎる最低賃金を正常な値へと是正する、そういう観点もあってしかるべきです。毎日の回答項目は最低賃金の問題を矮小化しすぎですね。
まぁ、他にも突っつけばいくらでもあるのですが、今日のところはこの辺りで。
ほんと、自民党は韓国を絶対支持しながらも、社会党をフロントに立てて、北朝鮮ともそれなりに大人の関係を続けてきたわけですよね。が、それは自民党にとっては、なかったことになっているみたい(笑)。
こういっちゃ身もふたもありませんが、自民党は拉致問題以後は、責任を社会党(社民党)におっかぶせて逃げちゃった部分がありますよね。要は、政府与党だった自民党が拉致問題については逃げまくっていたわけだから(私見では、それは仕方ない部分が多かったとは思いますが)。
増元照明氏にそんなこと言ったら、怒り出すでしょうね(爆笑)。
それにしてもこの調査、windows mobile端末だとできないんですよね…。
昔年の自民党には色々と「根回し」の手練手管があったように思いますが、自分から捨てちゃったみたいですね。今の対北朝鮮関係からは考えられない間柄も多々あったはずなのですが、根回しの能力と一緒に「なかったこと」にされてしまったのかもしれません。
>いるか缶さん
AdobeのFlashを使っているみたいなので、PC向けなんでしょうね。2年前と違って政党が多くて、表示スペースも要求されますし……
それはさておき、やはり単なる2択、3択では計れない部分も多いですよね。まぁ、不特定多数を相手にシステムで処理する以上、これぐらい簡略化しないと無理なのでしょうけれど。
選択項目が少なすぎるので、正確な結果とはいえませんが、共産党の95%は妥当だと思いました。共産党支持一筋でここまできましたから。
ところで、私も小選挙区に関しましては管理人様と同じ悩みを抱えています。
民主と自民と幸福実現の3人のみで、民主の奴は改憲派であり、自民の奴は清和会繋がり、幸福実現は宗教団体ですので却下‥。
どうしようかと悩んでます。
反対の意思表示のために白票もしくは意図的に無効票をねらっての「日本共産党」という票を投じるべきだとおもいます。
ここの質問に関してはともかく、大まかな傾向に関しては私の場合も特に外れてはいないと思います。結局、共産党と社民党のツートップだったわけですが、候補者が……と。民主であれ自民であれ、当選後に何をやるかを考えると難しいところですよね。どちらかといえば与党になるであろう民主の方により警戒が必要ですが、かといって対抗馬が自民党ではどうにもなりませんし。
>貝枝五郎さん
小選挙区で政党名を書いても、単なる勘違いと思われるだけかも……
(北朝鮮が)楽園のように見えていた時期があるのは確かです。それは思想がどうこうという問題ではないですから。
特定の政治家を売国奴呼ばわりしたり、経済制裁一辺倒に終始するのは、拉致問題の先送りとさえ思える部分があります。
毎日ボートマッチは試していませんが、思うことを幾つか書きます。
選択肢は多いほど迷います(ミスリードを誘う可能性もありますので)。しかし、イエスかノーで終わる設問はこういうことに関してはない方が良いです。いるか缶様が仰るような形がベターだと思います。
アンケートや世論調査は、疑ったり「なぜこういうことを選んだのか」を考える方がかえって気楽に見られると思っています。
その時々の情勢に応じて、特定の国への評価も変わりますからね。まぁ、その時々の判断が真に理に適ったものであるのなら隠すことでもないはずですが、その辺は支持者ウケ云々があるのでしょう。今は拉致問題というカードで「国内に」訴えかけるのが有効な時代のようですし。