非国民通信

ノーモア・コイズミ

福島の報道と、そこからかけ離れた報道

2013-11-27 23:07:57 | 社会

66.3%が1ミリシーベルト未満 伊達市の外部被ばく検査分析 実測値は予測の半分(福島民報)

 伊達市が昨年7月から1年間、全市民を対象に実施した外部被ばく検査で、市は21日、詳細な分析結果を公表した。
  年齢ごとの年間被ばく線量で、国が除染の長期的な目標としている1ミリシーベルト未満だった人の割合は、6歳までは83・21%、7~12歳が81・53%、13~15歳が77・01%、16~20歳が68・49%、21~60歳が65・49%、61歳以上が62・12%。市民全体では66・3%の人が1ミリシーベルト未満だった。
  年齢が高くなるにつれ、1ミリシーベルトを下回る割合が低い傾向が出た。市の担当者は「子どもは学校など放射線量が低い所で生活する時間が長い。被ばく線量も低くなったのではないか」とみている。
  その他、屋外活動8時間、屋内活動16時間を前提に空間線量から年間被ばく線量を割り出す予測値と、実測値との差も分析。実測値は国が示す計算式を用いた予測値の半分ほどの値になった。
  平均空間線量が毎時0・230マイクロシーベルトだった梁川町白根地区では、予測値が1ミリシーベルトだったのに対し、実測値は0・521ミリシーベルト。予測値の約52%にとどまった。空間線量が毎時1・071マイクロシーベルトの霊山町下小国地区では、予測値が5・419ミリシーベルト。実測値は1・893ミリシーベルトで、予測値の約35%だった。
  また、市が当面の年間被ばく線量目標としている5ミリシーベルトを超えた15歳以下の子どもはいなかった。仁志田昇司市長が市役所で記者会見した。
  検査は市がバッジ式積算線量計を全市民に配布。約8割に当たる5万2783人が1年間、測定した。

 

 ……とまぁ、地方紙ではこういう報道も出ているわけですが、朝日とか毎日とか全国紙を読むと全く別な世界が描かれているのですから困ったものです。ともあれ、年間の被曝線量の実測値が予測値を大きく下回ったとのこと。「予測値」の精度も問われるところでしょうか。本当に根拠があっての「予測」であったのか、それとも適当な値を「予測」と称していただけなのか、ここまで予測値と実測値が大きく異なってしまった原因については、不問にされるべきことではないように思います。

参考、それでいいのか

 例えば毎日新聞では、冒頭で伝えられている実測値を「意図的に低くなるよう集められたデータ」と呼んできたわけです。これは毎日新聞の悪意あるデマであって実測値は実際に計られた値以上の何物でもないのですが、ある種の思惑を持った人々にとっては話は異なるのでしょう。端的に言えば「いかに放射線量を高く見せるか」に腐心してきた人々がいて、朝日新聞のように甲状腺等価線量と実効線量を混同させることに努めるメディアもあれば、何かと出所の怪しい計測値を喧伝する市民団体やジャーナリストもいる、放射線測定で適切な装置も持たないのに不安を煽って一山当てようと企む悪徳業者もいれば、そんな悪徳業者の測定結果をそのまま記事に載せる東京新聞等々。

 年間の被曝線量を低く見積もれば、ここで明らかにされた実測値にはもっと近づいたことでしょう。しかし、低く見積もれば見積もるほど実測値に近づく反面、「被曝量を小さく見せかけようとしているのか!」と、何も学ぼうとしない人からの非難が殺到するであろうことは想像に難くありません。その辺の反発を恐れた結果として「高めに見積もった」⇒「実測値を大きく上回る外れた予測だった」と。もし本当にそういう経緯であったなら「日和った」としか言えませんが、どうなのでしょうか。時に予測値は住民の生活を左右するもの、世間の反応を恐れず正確な算出を期してもらいたいものです。

 週刊誌には酷いものが多いですが、最低最悪はやはりAERAに尽きますかね。毎号、正気を疑うトンデモ記事が連発されているわけですけれど、まぁ発想(妄想)の豊かさは褒められるべきなのかも知れません。さて毎回ながらツッコミどころに事欠かない中吊り広告に曰く「原発再稼働でアベノミクスは終わる」「原発停止→代替燃料費が高騰→貿易赤字が拡大→円安→経済好転という矛盾」と。う~ん、とりあえず原発とアベノミクスを批判しておけばOKというのが朝日新聞グループの基本姿勢だというのは分かります。とはいえ、いくら何でも筋の運びが稚拙に過ぎるのではないでしょうか。

 とりあえず「原発停止→代替燃料費が高騰→貿易赤字が拡大」までは間違っていません。代替燃料費が高騰して、原発事故の処理費すら霞んでしまうような巨額の富が燃料調達のために投じられてきたわけです。その結果としてアメリカなどの諸外国に恒常的な貿易赤字を強いてきた貿易黒字国の日本がまさかの赤字に転落するに至りました。脱原発のコストがどれほど高いものであるかを如実に表わすところですが、そこからAERA流の飛躍が始まります。何でも「貿易赤字が拡大→円安→経済好転」とのこと。

 いやいや、円安は貿易赤字のせいじゃないでしょうに。円安方向に動き始めたのは民主党というデフレ政権の終焉からであって、貿易赤字の始まりからは随分とタイムラグがあることぐらい、いかに愚かな朝日新聞グループの記者にだって分かりそうなものです。貿易赤字が円安の原因なら、野田政権時代から為替レートが動いていなければおかしいはず、でもAERAの記者にとって時系列的な推移や整合性など、どうでも良いものなのかも知れません。まぁ金融政策の意義を認めないためには、そうやって現実歪めて解釈しないと無理なのかな、とも。

 ただ今回の見出しを見ると、アベノミクス――どうにもこの呼称は適切でないように思うのですが――の成果をAERAも認めざるを得ないところにまで追い詰められているのかな、という印象もあります。アベノミクスの効果などない、景気は上向いてなどいない、円安で生活が苦しくなった等々と強弁する方を好む人も多いですけれど、そうであるならばアベノミクスの「終わり」は歓迎されるべきもののはずです。ならば散々批判してきたアベノミクスを終わらせてくれる(とAERAが主張するところの)原発再稼働は朝日新聞グループとして賛成すべきものになってしまうのではと言う気がしないでもありません。まぁ、その辺の整合性など気にしない人でも記者稼業は務まるのでしょう。

 

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