さて衆議院が解散され、12月に選挙ということになりました。「別にやらなくてもよくね?」と思う人も多いのではないでしょうか。今のままでも普通に自民党の一強であって、これを覆されるリスクを冒す必要など解散の決定権を持つ側にはどこにもないわけです。まぁ、勢力図が反転する可能性はゼロに近い、一方で何か不測の事態で逆風が吹いた時期に衆院の任期満了で時期を選べないまま総選挙という事態は避けたい、ならば今のうちに済ませておくのが得策と、そう判断されたのかも知れません。
強いて言えば民主・みんな/結い・維新などの似た者同士が手を携えて自民党に対抗してくる事態は懸念された可能性がありますが、往々にして政策的な距離よりも感情的なしこりの方が政党同士の連携においては障害となるものです。民主やみんな、維新が政策面で合意することは難しくない、埋めるべき溝など微々たるものと言える一方で、感情的な対立――というより「好き嫌い」――には乗り越えがたいものがあるのではないでしょうか。かつては隆盛を誇ったみんなの党も、「どちらに付くか」を巡ってとうとう解党に至りました。どれほど方向性に一致があろうとも、民主と維新では主導権を争うばかりで連携して自民に当たるのは上手く行かないだろうと予測します。
なお解散総選挙の口実としては、消費税増税の「延期」を巡って国民の信を問うみたいな話があるわけです。もっとも逆進課税派の最右翼にして最大野党の民主党が選挙のためのパフォーマンスとして「増税の先送りもやむを得ない」と心にもない嘘で国民を欺こうとしているだけに、安倍首相の語る大義名分は争点となっていないと言えます。どこかの党が強硬に消費税を増やして税の逆進性を強めるべしと主張しているならともかく、主立った党は逆進課税強化への欲望を選挙期間中は隠し通そうとしているのですから。朝日新聞や経済界に財務省が消費税増税を臆面もなく要求したところで選挙で戦うのは政党だけ、結局はどの党に投票したところで消費税増税に対する国民のメッセージは、ハッキリしないものになってしまいます。
ただアベノミクスの失敗云々と民主など野党筋は強弁するところですが、消費税を上げる前までは「民主党政権時代とは違って」景気は上向いていたわけです。この辺を巡る態度で、各政党の真意はやはり分かれるかなと思います。消費税増税という世紀の愚策によって景気回復に水を差されたと認めているのか、それとも消費税増税の失敗を認めずに「アベノミクスの失敗だ」と言い募るのか、まぁ結局は消費税増税という民主党との約束を守ってしまった安倍内閣の過ちでもありますけれど、昨今の景気の旧失速の原因を何に求めるかで、その政党が現実に向き合えているかどうかは判断できるのではないでしょうかね。
やはり、消費税増税が景気回復を阻害しているの感じています。
景気が上向いて「いた」のは消費税増税「前」の話ですね。消費税増税「後」は明白に下を向いています。消費税増税前は、恩恵がないと連呼する野党筋や朝日新聞などを尻目に客観的な指標はキッチリ上を向いていたのですが――まぁ安倍政権は自分の業績を自分で潰してしまったわけです。