Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

2009年を明るくするもの

2009-01-05 23:23:28 | Weblog
職場に初出勤。ただし,学校自体は8日までオープンしない。この隙に研究を… といいたいところだが,実は授業の準備に終始している。昼食時の「ランチョン」はむちゃくちゃ混んでいて,席に座ってもなかなか注文を取りに来ない。年始の挨拶で会社に顔を出し,昼からは早くもビールを飲んでいるオヤジたちや,隣の席でドバイがどうしたとかしゃべっている若い女性たちを見る限り,日本経済は何も変わっていないように見える。そんなはずないんだが…。

AERAの1.12号では,100人の識者による2009年の予言が特集されている。いうまでもなく景気動向に最も多くのページが割かれていて,大方の見方は悲観的だ(そりゃそうでしょう)。国内政治については,政治家たちの予測というより抱負が述べられている。そのなかで意外性があったのが「民主党政権で領土交渉が進む」という鈴木宗男氏の予言だ(ところで鈴木氏と田中真紀子氏は,民主党政権で呉越同舟するのだろうか…)。

「はたらく・格差」というテーマでも,予言よりは提言が多くなる。国兼亜紀子氏は「仕事は溢れている」から選り好みせずに働こうというが,そうした主張はさすがに例外的で,何らかのワークシェアリングを提案する人が多い。小林よしのり氏は「若者は連合の集会に乗り込め」と述べ,正社員と非正規社員,中高年と若者の間での既得権益の再配分を示唆する。格差是正はゼロサムゲームとなる。容易にはいきそうにない。

考えさせられるのが上野千鶴子氏の「男おひとりさまはお先真っ暗」という予言である。男のおひとり様でも,高齢者よりは一世代下の死別・離別シングルは「あらゆる制度から見放されている孤独死予備軍」とのこと。さらに深刻なのが,親にパラサイトしている40代の非婚シングル。彼らは親の年金に依存しているので,親が要介護状態になっても公的な介護を導入しない。「高齢者虐待の加害者の順位のトップが息子」だという。

社会のあり方は,マーケターにとって基本的には所与である。だが,マーケティングが社会イノベーションに貢献する余地がないとはいえない。とりあえず,その可能性に言及することで,今年のやや遅れ気味の「初夢」を語ったことにしておこう。