10月23日、NYU Stern School で開かれた Big Data Conference、正式名称 NYU 2015 Conference on Digital Big Data, Smart Life, Mobile Marketing Analytics に参加した。テンプル大学の Luo 教授、ニューヨーク大学の Winer 教授が共同議長を務めている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/29/e1919bca600a9cc6342cd240df603416.jpg)
朝8時半から5時まで、基調講演以外は3トラックで発表がある。私が聴講した範囲では、マーケティング・サイエンスの研究者による、フィールドでの無作為割当の実験研究が圧倒的に多い。ビッグデータという看板通り、数万人規模の実験が、小売企業等の協力を得て行われている。
日本でビッグデータを活用したマーケティングの会議が開かれたとしたら、ここまでフィールド実験が多く発表されるだろうか。こうした研究は、当然、大学の研究者だけでは不可能で、Google や Facebook の研究者が共著者に名を連ねることになる(日本でもそうだといいが・・・)。
もう1つは、中国で行われた実験が目立つこと。これは、中国から留学してきた研究者の多さからして、当然のことだろう。中国のモバイル利用人口は世界一であり、かつイノベーションに前向きな小売業が多いということだろうか(あるいは、個人情報保護などの規制が緩いとか・・・)。
それはともかく、大規模実験の説得力は強く、基調講演者の一人 Wedel 教授によれば Small Stat on Big Data という状況が生まれている。もちろん、アカデミックの側としては Big Stat にしたい。Dubé 教授のように、 実験と経済モデルを組み合わせた研究などは、その最先端だろう。
Hanssens 教授の基調講演は、別の意味で刺激的であった。彼は、マーケティング・サイエンスの経験的一般化に関する近著を紹介しながら、ビッグデータの時代に、新たな一般化が求められると主張し、その方向性をいくつか示唆していた。しかし、すべては弾力性に集約されるという。
最後に、Toubia 教授の講演にも触れておきたい。彼は、この会議の長いテーマのうち、Smart Life という部分に興味があるという。巧妙な価格設定やプロモーションで利益を増やすことより(と明言していたかどうかは別にして)、人々の well-being を高める研究をしたいとのこと。
現在彼が行っているテキストマイニングやアイデア生成の研究の目的を聴いて、彼の研究により興味がわいてきた。名声を誇る彼と自分を同列のように語るのは不遜だが、自分もまた、同じように感じているからである。研究を通じて、もっと人間の奥深い部分に迫りたい、というような。
発表が1日に詰め込まれているせいか、たまたま時間を余して発表が終わった奇特なケースを除き、質疑応答が少ない印象を持った。数週間前、同じく Stern で開かれた WIN2015 とは、そこが大きく違う点だ(質疑応答は、発表以上に理解するのが大変なのだがw)。
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朝8時半から5時まで、基調講演以外は3トラックで発表がある。私が聴講した範囲では、マーケティング・サイエンスの研究者による、フィールドでの無作為割当の実験研究が圧倒的に多い。ビッグデータという看板通り、数万人規模の実験が、小売企業等の協力を得て行われている。
日本でビッグデータを活用したマーケティングの会議が開かれたとしたら、ここまでフィールド実験が多く発表されるだろうか。こうした研究は、当然、大学の研究者だけでは不可能で、Google や Facebook の研究者が共著者に名を連ねることになる(日本でもそうだといいが・・・)。
もう1つは、中国で行われた実験が目立つこと。これは、中国から留学してきた研究者の多さからして、当然のことだろう。中国のモバイル利用人口は世界一であり、かつイノベーションに前向きな小売業が多いということだろうか(あるいは、個人情報保護などの規制が緩いとか・・・)。
それはともかく、大規模実験の説得力は強く、基調講演者の一人 Wedel 教授によれば Small Stat on Big Data という状況が生まれている。もちろん、アカデミックの側としては Big Stat にしたい。Dubé 教授のように、 実験と経済モデルを組み合わせた研究などは、その最先端だろう。
Hanssens 教授の基調講演は、別の意味で刺激的であった。彼は、マーケティング・サイエンスの経験的一般化に関する近著を紹介しながら、ビッグデータの時代に、新たな一般化が求められると主張し、その方向性をいくつか示唆していた。しかし、すべては弾力性に集約されるという。
![]() | Empirical Generalizations about Marketing Impact (Relevant Knowledge Series) (English Edition) |
Dominique Hanssens | |
Marketing Science Institute |
最後に、Toubia 教授の講演にも触れておきたい。彼は、この会議の長いテーマのうち、Smart Life という部分に興味があるという。巧妙な価格設定やプロモーションで利益を増やすことより(と明言していたかどうかは別にして)、人々の well-being を高める研究をしたいとのこと。
現在彼が行っているテキストマイニングやアイデア生成の研究の目的を聴いて、彼の研究により興味がわいてきた。名声を誇る彼と自分を同列のように語るのは不遜だが、自分もまた、同じように感じているからである。研究を通じて、もっと人間の奥深い部分に迫りたい、というような。
発表が1日に詰め込まれているせいか、たまたま時間を余して発表が終わった奇特なケースを除き、質疑応答が少ない印象を持った。数週間前、同じく Stern で開かれた WIN2015 とは、そこが大きく違う点だ(質疑応答は、発表以上に理解するのが大変なのだがw)。