Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

厚かましくもWeb2.0を論ず

2006-11-29 23:19:59 | Weblog
今日は情報処理学会の「Web2.0の現在と課題」セミナー。Web2.0をビジネスとして実践する橋本さん,川崎さんの迫力ある話に続いて不肖水野が厚かましくも「ロングテール」についてしゃべった。そのあとは,ウェブに関する先端研究の動向として,大向さんが「集合知」,松尾さんが「社会ネットワーク」について語る。聴衆は100人強。そのなかに村田Tさんや山本さん,さらに午後には服部さん,木村さん,川野さんの姿があった。

ぼく以外の演者は,それぞれWeb2.0の定義を語った。コミュニティ,人力,crowds といったコンセプトがマーケティングにどう関わるか。コミュニティ・マーケティングとかC2Cとか,すでに議論はあるが,自分のなかでどう位置づけていいかわからない。ただ,Attention から始まるマーケティングでいいのか,という気がする。

セミナーのあと,神保町の沖縄料理店で軽めの,しかし長い打ち上げ。ぼくには意味がよくわからないことばが次々飛び交う。最後は「セカンドライフ」の話。それが自立した経済圏になり得るかどうかの思考実験。ただ,オンラインゲームの経験がないため多くを語れず。にしても,今日は十分すぎるインプットをもらいました。

Web2.0の世界を支える「有象無象=crowds」の実態が気になる。草の根のコンテンツ供給者たちは,クリエイティブクラス,あるいはその予備軍といえるのか。彼らは多くの時間を無償の労働に割いているが,格差が拡大する時代に,それはどこまで可能なのか。米国と同等の意味でのテール市場は立ち上がるのか。

潜在的研究課題は増える一方だ。さらに,5月のサンベルト会議@ギリシャも魅力的だ。しかし,それらはすべてしばらく封印する。


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研究の社会的価値

2006-11-29 01:39:46 | Weblog
いくつかの学会に参加するなかで,自分がいま面白いと感じるのは,社会的価値のある研究だということがわかってきた。社会的価値というと大げさに聞こえるが,要は,そのことがわかることで,研究の同業者を除く,社会のいずれかの構成員にそれなりの価値がもたらされること。そしてその範囲が広ければ広いほどよい,ということだ。

ものづくり能力は高い日本の製造業が,それとブランディングを統合することで,より高い付加価値を獲得できるようにする。生産性が低いといわれる日本のサービス産業(あるいは製造業のサービス部門)にイノベーションを起こす。これらは,日本の産業,企業の競争力を高めるという社会的価値がある。

だが,消費者側に焦点を当てた価値もあるはずだ。新たなライフスタイルを明示化することで,それに相応しい製品やサービスの開発を誘発し,消費者の満足を高める。消費者の選好が形成されるメカニズムを探ることは,悪用されると「洗脳」マーケティングのような話になる。ただし,行動意思決定理論がそうであるように,消費者がバイアスに捉われないように誘導したり,非現実的な前提に立つ経済政策への警鐘を鳴らすとかいった方向に進めば,消費者の利益に貢献する。

年を取るにつれ,原点に回帰したくなる。そもそもなぜ,研究の道に進んだのか。マーケティングの前に興味を持ち,マーケティングも含めて実現しようと思っていることは何か。マーケティング・サイエンスを単なる工学だと思っている研究者もいるだろうけど,ぼくにとってそれは社会科学であり,人間科学であり,その範囲内での社会工学でなくてはならず,そうでないとしたら,おさらばするしかない。
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JIMS@青山学院

2006-11-26 16:19:46 | Weblog
昨日は青学の淵野辺キャンパスで開かれたJIMSに参加。「小売店舗内回遊行動…」の報告。濱岡さん,佐藤Aさん,阿部さんからコメントをいただく。技術的に改善の余地はあると思うが,それ以上に重要な残された課題は,小売業者にとって「役に立つ」情報の整理の仕方を考えることだ。

そして濱岡さんの発表へコメント。上場企業への質問紙調査の結果から,日本企業の新製品開発体制とその成果の関係,またユーザイノベーションやオープンイノベーションの実態を分析したもの。こうした研究の意義は大きいが,そこで仮定されている「日本の上場企業」という母集団とは何だろうか,と質問した。

自動車プロジェクトでは,同一業種の競合企業から,おそらく50程度の質問紙調査+インタビューをみっちり取るようなアプローチをとる。簡単なクロス集計や回帰分析くらいしかできないが,データの質が高い,個体の周辺情報がわかるというメリットを期待している。量的調査と質的調査をどうバランスさせるか。

土曜の夜の町田の人の多さに驚く。懇親会,二次会と調子に乗って飲んでいると,新宿行き最終電車にぎりぎり飛び乗ることになってしまった。3週間学会が続いた。これで一段落,というわけではなくて,12月中旬のワークショップに向けたカウントダウンが始まっている。
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ご著書拝受しました

2006-11-25 00:06:37 | Weblog
白井さんから近著を贈っていただく。これで2冊目。前回は学術書だったが,今回は啓蒙書。彼女は価格に対する消費者の知覚の問題をずっと追求し,着々と成果を挙げている。一時期「席を並べていた」者として,頭が下がる思いだ。

毎年,いろいろな方から著書の贈呈を受ける。買ったあとに頂くことも少なくない。だから,友人知人の本を本屋で見かけると,つい買い控えてしまう。しばらくそういうことはないだろうが,いつか自分が献本する立場になるかもしれない。そのとき,何冊ぐらい献本するのがふつーなのだろうか。


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点から線・・・回遊行動

2006-11-23 23:14:17 | Weblog
今週末JIMSで発表する「小売店舗内回遊行動と購買に関するモデル分析」の部会発表を昨日行なった。参加者は発表者の「身内」を除くと4人…こういうときに来てくださる人は印象に残る。発表内容は,画像認識技術で計測した小売店舗内の集計的な人の流れをいったんマルコフ的な遷移確率に集約,その後モンテカルロシミュレーションで仮想的な回遊パスを生成,k-medoids clustering をかける。その後,回遊パタン(クラスタ)とカテゴリ別/全体の売上の関係を分析する…というものだ。

テクニカルなツッコミどころは多々あると思うが,結果として面白い結果が出ており,実務的には有望ではないかと勝手に思い込んでいる。どの売場にいたかという「点」情報だけでなく,どことどこの売場を回遊したかという「線」の情報を加えたほうが購買行動がよりよく説明される,というのが本研究のメッセージだ。もちろん,その「点」でさえ,これまでわからなかったわけで。

分析に使われた手法は,マルコフチェーン,主成分分析,回帰分析などいずれも古臭いものがほとんどだ。だが,手法が高度になるほど計算が不安定になることは,別の研究で痛感している。様々な「仮定」が入り込み,複雑に交絡し,ユーザに見えない部分がどんどん増えて何が起きているかわからなくなる。だからこそ,簡単な道具で不恰好だが中身がよく見えるモデルを作ることの価値がある(もちろん,つねにそれがいいというわけではなく,複雑なアプローチが価値を持つ状況は確実にあるのだが)。

参加者が少ないため,二次会はいつもの「和民」ではなく,ちょっと足を伸ばして「竹やぶ」に行く。「唐十郎」が相変わらず元気に焼鳥を焼いていた。軍鶏刺しも皮酢も,この20年変わらぬ味で何よりだ(お酒のメニューから,かつて好きだった旭菊水と出羽桜が消えていたが)。院生の河内君(数学),吉田君(社会心理学),今回共著者の濱井さん,岡平さん。話は最後は教育問題に及ぶが,久々の吟醸酒が効きすぎて,気の利いた着想が出てこない。しかし,こういう夜は大好きだ。中野を「回遊」していた日々を想い出す。
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JACS@慶応三田 2日目

2006-11-20 02:46:43 | Weblog
午前中,クチコミ関係の発表を3つ聞いた。まずは化粧水のキャンペーンの例。@コスメの会員からモニターを募集,コミュニティを立ち上げる。頃合を見てTVCMキャンペーンを始めるとアクセスが急増。事後調査で,TVCM+@コスメ閲覧の交互作用が示されていた。面白系のバズマーケティングとは違うとの指摘。

2番目は,学生サンプルへの追跡調査を通じて,映画の選択に,リアルとウェブのクチコミがいかに影響したかを分析している。現在のところ,リアルのほうがインパクトが強そうなこと,クチコミは知名から購買までのあらゆるステップに効くことが示された。濱岡さんは相変わらずパワフルだ。

3番目は,ウェブ上のコミュニティで誰に影響を受けるかは,相手の属性の類似性だけでなく,属性間の関係の類似性も作用するだろうということを,社会心理学の既存研究を踏まえながら,理論上の整理を行なっていた。以上の3つはいずれも聞き応えがあって,JACSもなかなかのもんだと思わせる。

消費者間の影響関係に関する研究のサーベイ w/ 山本さん。後回しになっている宿題の一つだ。新たな研究がでてくるたびに,がっくりする。方法論に焦点を当てたサーベイにするとしても,関係データを前提とした社会ネットワーク分析や空間的自己相関モデルくらいしか思いつかない。

クチコミを自己申告でとっている場合は単なる意識調査なので,手法は山ほどあるが,特別に論じる必要がなくなる。理論研究という点では,エージェントベースがあり得るが,消費者のクチコミを扱っていて,かつ何らかのジャーナルにでたものというと,そうは多くないと思う。うーん難しい。

昼休み,芳賀さん,鈴木さんと某セミナーの今後について軽く意見交換。もう5年は続いているのだろうか。続けていくことの価値もあるし,大きく変える,あるいはやめてしまうという選択肢もある。問題は自分のパートなのだ。muddle through でいいのかもしれないが,つい all or nothing 的に考えてしまう(ちゃぶ台ひっくりかえす,みたいな)。

ともかく週末のJIMS,3週間後のワイン。
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JACS@慶応三田 1日目

2006-11-18 23:32:57 | Weblog
来週の試験問題作成に追われ,午後二のシンポジウムから参加。社会心理学者を含むパネリストが,感情と認知と消費者行動について語っていた。感情(affection)といっても多種多様だが,実験的研究で扱われるのは気分(mood)という,認知的情報処理をさほど妨げないレベルの感情が中心のようだ。そして理論的研究はともかく,実験的研究の多くは,統制されたポジティブ/ネガティブな気分の下での認知的情報処理の差異を研究している。

感情の適応性という概念が議論になった。だが,適応ということばの意味がはっきりしないように感じた。そこをきちんと詰めるには,進化ゲームのような理論分析が欠かせないだろう。感情研究は,手堅いが抑制的にすぎる統制実験から,could-be world を考えるモデル・シミュレーション研究まで,様々な研究戦略が並行して進んでいくべきだと思う。

その一方で,帰りの電車で思ったことは,すべてを適応性のなかに押し込めることの危険性だ。たとえば,いじめによる自殺や幼児虐待を適応行動と見なすことは定義次第では可能だが,かなりの恣意性を持ち込んでいる。進化論的メカニズムは長期的に成立するものであって,短期的な,特定の個体にとっての適応を保証するものではない。感情によって身を滅ぼすことは,消費のレベルですらよくあるはずである。いずれにしろ,刺激的なシンポジウムではあった。

そのあとの総会では選挙・・・日本の消費者行動研究をリードしている人は誰か,と考えるが,不勉強にしてそう多くは思い浮かばない。過去の経緯で今後も頑張っていただけそうな方々が選ばれ,組織文化の一貫性が維持されることになる。懇親会で,初めてお話する方から研究テーマを伺うが,正直どういうものかよくわからない。CBのテーマはあまりに広く,奥深い。

JACSの懇親会は,終わるとそそくさと帰ることが多い。ほとんど同じメンバーなのに,さあ,みんなで飲みに繰り出すぞ,という雰囲気になるJIMSとちょっと違う。JACSは女性が多く,比較的大人しい雰囲気だからか。JIMSには,飲みの触媒役になる人がいるからか。同じ人間のふるまいが学会によって違う気もする。組織文化の差? ともかく,最も大事なことは研究であり,それが会話を誘発し,その結果「懇親」できる,というのが正しい順序だろう。
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あと1ヶ月の勝負

2006-11-17 00:17:52 | Weblog
TTWJ(などと勝手に省略していいのかどうか…)のプログラムが決まった。あと1ヶ月,というとだいぶ先のようだが,正直いってかなりヤバい。日本側の発表者は,2年前,統計数理研究所で開かれた似たような会議とほぼ同じ。そのほとんどが,11月末のJIMSと同じテーマで臨んでいる。それがフツーだろう。ますますヤバい。どうしのぐか…いい加減人間の腕の見せどころだ。

その直後に修士論文の提出期限が来る。いけだ君の研究は,潜在的な(したがって観察されない)準拠集団を含む選択モデルである。アルゴリズムの安定性に関するシミュレーションで散々苦労したのち,最後にビンゴ!に行き着いた。次は実データへの適用で,時間との競争である。いま,彼の力がどんどん向上しているのを感じる。これを続ければ,と思わせる人材が大学を離れていくというのは,よく聞く話ではある。

卒論生は,今年は二つに分かれた。エージェントベース組と評価グリッド法(*)もどきをやる組だ。そして,それぞれのなかで進度の差がある。卒論の期限は年を越す。みんなでなだれ込んでいくしかない。

*商標登録されたとかで,今後,安易にこの名称を使えなくなるかもしれない。

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時間の壁を突破したい!

2006-11-15 01:00:40 | Weblog
月末のセミナー用の資料を脱稿。期限一日前に事務局に送る。ウェブページを見ると定員350名とある。どれだけ来るのだろうか…もし定員いっぱいになったら,これまで経験したなかで最多の聴衆を相手にすることになる。どういうことになるのか,楽しみではある。

今日(昨日)は授業と卒論中間報告,明日はやはり卒論中間報告と会議で一日終わる。夜の時間は,本来,私的に過ごしたいものだ。ジムに行ったり,仕事とは関係のない本を読んだり,友人と飲んだり。たまにはライブも聴きたい。それができないというのは,何という貧しい人生なのかと思う。終電のない環境…やはり離れ難いのか。

何て書いている暇があったら「自動車」の調査票を早く仕上げないと,ひんしゅくを買いそうだ。来週行なう試験の問題作成,これはmust。その合間をぬってJIMSと筑波-東北WSの準備もせねば。週末のこのこJACSに行っている時間があるのか…ただ,消費者の感情の問題は興味あるし,クチコミ関係は聞いておきたいし,悩ましい。明後日の岩井克人先生の講演に行くのは,ほぼ確実に無理そうだ。
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Innovation Architecture

2006-11-13 23:43:05 | Weblog
JASMINで得た成果といえば,佐藤先生の話を聞きにいって,Innovation Architecture という概念に出会ったことかもしれない。ターゲット顧客やニーズから要素技術,さらには基礎的な科学知識までを段階的に階層構造化する方法論だという。それ自体は,品質機能展開(QFD)のようにも見えるし,階層分析(AHP)ともつながるだろう。あるいは,評価グリッド法との親近性も感じる。階層化ってのは,確かに強力な考え方である。

佐藤さんが結びつけようとするソフトシステム方法論(SSM)…昔この分野のを読んだことがあり,英国版KJ法?みたいな印象が残っている。それがうまくいくのかどうか,ぼくにはよくわからない。ところで,SSMを推進していた人々が,いまけっこうMOTに関わっていることに気がついた。そして,MOTからサービスサイエンスへの流れにも…。そういう流れがある,ということだ。

その一方で,MOT先進校といわれる大学の先生から,実際はそう簡単には行っていないという話も聞いた。日本の製造業の企業はかなり高い技術経営力をもっているはずで,大学がそこでどんな貢献をできるかが問題だ。一方,サービス産業となると,企業側に国際レベルの高い経営力があるかどうかが問題となる。大学がそこで大きな貢献をできればいいが,これまでサービスのことなどほとんど考えたこともない研究者がほとんどのはず。そこで新たに何をするのかという志が,あまり見えてこない。

イノベーション,技術,ブランド,サービス,グローバル…気がつけば,いろんなプロジェクトに関わっている。マネジメントの研究者の端くれとして名誉なことかもしれない。その一方で,消費者行動の超ミクロなテーマに閉じ篭っていたい気もする。焦点を失うと,何も生み出せない。
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倹約プラス細心さの原理

2006-11-13 00:48:00 | Weblog
いくつかのエージェントベースモデル(ABM)の発表を聞いて感じたこと。まず,エージェントの配置に,意味なく空間構造を持ち込むべきでない。エージェント間のインタラクションがきわめて局所的でかつ推移的な場合に妥当な設定であり,現代のようなダイナミックな社会でそう一般的だとは思えない。

一見現実的に見せる,安易な物語風メタファーを持ち込むことも危険を伴う。それが誘発するイマジネーションがプラスに働けばいいが,どちらかというと,勝手な思い込みによって本質の理解を妨げるおそれが大きい。いろいろな意味でシンプルさが重要であり,倹約の原理はABMでも生きている。

淘汰を担う評価関数の設定に,きわめて慎重かつ禁欲的でなくてはならない。安易に,システム全体の評価者=神様を持ち込むことは危険だ。とはいえ,どこかに何らかの評価を忍び込ませないと「進化」にはならないことも事実だ。だからこそ,そこに細心であるべきなのだ。

ABMでなくても達成可能なことは,その分野で標準的なアプローチに委ねたほうがいい。ぎりぎり,これしかないという点にABMを応用すべきだ。それによって,ABMならではの貢献がはっきりする。それは「倹約」のためだけではない。この手法が,各ドメインで受け入れるための細心さの原理でもある。
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JASMIN@神戸商大

2006-11-12 22:40:48 | Weblog
以前から会員であったJASMINの研究大会に初めて参加した。何人か知っている先生にお会いする…たとえば大学で同じゼミの村田(いまや彼は大先生だが,同期なので失礼ながら呼び捨て)。聴講したのはいくつかエージェントベースの発表に加え,Eコマース関係の実証研究など。楽天の収益性をめぐる分析はけっこう面白かった。

そのあと神戸大の貝原研究室に移動して,社会シミュレーション研究者のワークショップ。いろいろな研究課題が挙がってくるが,自分のやりたいことはすでに決まっている。他にその領域を(本格的に)やろうという人が,そうはいないだろうこともわかっている。

六甲口の居酒屋で,高橋さんと経済学の可能性をめぐって議論する。彼がなぜGAにこだわるのかが何となくわかった。自分のなかでは,一昨日の議論とも関連している。また貝原さん,北中さん,柴さんはもちろん,数理社会学者の中井さんといろいろ話せたことはよかった。

異分野の人々とたまに議論することは刺激になる。そして最後に思うことは,とにかくきちっと成果を世に出すことがいかに重要であるかだ。来週末,再来週末は同業者の学会である。祭りは続く。
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嘘つき戦略の適応性

2006-11-11 16:01:30 | Weblog
昨日,数理生物学者の中丸さんから「うわさ」を組み込んだ進化ゲームの研究について伺う。反復囚人のジレンマゲームにおいて,誰に裏切られた(協力してもらった)と経験をクチコミで流す戦略以外に「私は裏切りません」と嘘をつき続ける戦略を登場させている点に新しさがあるようだ。

秋山さんから,このモデルは生物ないし社会のどんな行動を想定しているかという質問が出た。一方,中丸さんは,一足飛びにマーケティングや消費者行動の領域への応用可能性を考えているようだ。そもそも囚人のジレンマ的状況がマーケティングの世界にあるかどうか。ブランドをめぐる女性間の(あるいは男性でも?)駆け引きを桑島さんが挙げた以外に,なかなかいい例が出てこない。広告のシグナリング効果に関する議論のように,企業と消費者間のゲームのほうが思いつきやすい。だが,それは非対称なので囚人のジレンマ的状況とは異なる。

議論はいつものように二次会へ。進化生物学(ないし進化ゲーム理論)とマーケティングの対話は,いずれ大きな実を結ぶだろう。今日,神戸に向かう新幹線のなかで,嫉妬と同情心の進化をいかにモデリングするかを考えていた。エージェントベースは役に立つのか,という里村さんの問いかけが耳に残っている。とりあえずは「面白そうだ」という一見「根拠なき」直観が重要だと思う。人間がそういう判断をするということに,進化的な適応性があるはずだと。いや,それは嘘つき戦略と同じ…といわれかねないが。
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つながり感知装置

2006-11-10 07:45:36 | Weblog
先日のワークショップで,ユビキタス技術も話題になったが,部屋の温度管理以上のはっきりしたメリットが浮かび上がらなかった(…というのはいい過ぎで,病院内で搬送中の患者のモニタリングなど,重要なニーズも議論されていたが)。ぼく自身は,つねに人との「つながり」が感じられる応用(リアルタイムSNS)を提案したのだが…

それは,実は,すでに実用化されていた。象印の「みまもりほっとライン」。無線LAN内臓の電気ポットで,給湯などの使用状況が遠隔地でも把握できる。2001年にスタートし,すでに3,000件近いレンタル契約があるという(日経朝刊,11/7)。利用者の大半は,一人暮らしの高齢者がいる家族だという。

ポットの使用状況は,携帯電話やPCでモニタされる。それもいいが,お湯が沸くと互いのポットがピカピカ点灯するとか,腕時計がプルプル震えるとかはどうだろう(面白いのは最初だけかな…)。それにしても,ポット=お湯=暖かさ,という連想が成り立つ点がなかなかいい。
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工学で救うのか,工学を救うのか

2006-11-08 20:19:38 | Weblog
ここ数日,工学(理系)と社会科学(文系)との関係について考える機会が続いた。まず月曜日の「サービス科学フォーラム」。周知のように先進国経済ではサービスが最大の部門になり,IBMですらハードやソフトよりサービスからの売上のほうが伸びている。しかし,そこは生産性が低い暗黒大陸であり,工学にとって巨大なフロンティアなのだ。とはいえ工学だけでは解決できない問題があり,心理学や社会科学との協働が必須であると。それはそうだとして,ではどうすればいいかが,いまひとつはっきりしない。だからこそ,新たな学際研究領域だということなんだろうけど・・・。

そして,某財団による,社会変化と科学技術に関する予測のワークショップに出席。各分野の重鎮の先生方の話を聞く機会を得て,大変勉強になった。ただその一方で,理工学だけでは解決できない問題が確実に存在することもよくわかった。単純にいえば,エンジニアと生活者を架橋する役割が必要だということ。その意味で,昨夜聞いた Oxford の Seidelさんの研究が示唆的だ。彼が事例研究した radical innovation プロジェクトはいずれも,コアチームにマーケターを含んでいる。これは,彼自身はさほど意識していなかったようだが,ぼくにとっては驚きだった。

・・・とまあ,いろいろ刺激を受けたが,足元を見ると未処理の「用事」がたまっている。
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