Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

2つのサービス学会@San Jose

2015-07-14 20:58:04 | Weblog
San Jose で連続して開かれた ICServFrontiers in Service というサービス関連の学会に参加し、それぞれで発表を行った。ICServ は日本のサービス学会が行っている国際会議で、数年に1回は海外で行う方針とのこと。したがって今回、参加者の8割近くが日本人であった。

一方、Frontiers は20数年の歴史を持ち、参加者数は ICServ の3倍近く、出身国も幅広い。元々サービスマーケティング研究者の集まりであったが、IBM が後援するようになってコンピュータサイエンスなど工学系研究者の参加も増えたという。私はいずれの会議も初参加であった。

異分野間の共通理解を深めるためか、両会議とも豪華な基調講演者を招待している。特に Steve Vargo (U Hawaii)、藤川佳則 (一橋大学)、Robert Sutton (Stanford U)、Jeremiah Owyang (Crowd Companies Councils) 各氏の講演は非常に eye-opening で、大きな刺激を受けた。

そこで聴いた Service Ecosystem、Value Stellation、Multi-sided Market 等々のコンセプトは、IBMアデルマン研究所や IDEO を訪れて聴いた話とシンクロした。それらは要は複雑系なのだが、エージェント間を知識や価値が高速に移転している点で独特の「複雑系」だといえる。

そうした複雑系が現実となっているシリコンバレーの空気をわずかに吸うと、日本のことが心配になってくる。日本から Apple や Google はもちろん UBER や Airbnb は生まれるのだろうか・・・Alan Kay 的には、それを予測することではなく、創造するかどうかが重要なわけだが。



それはさておき、私は ICServ では "The Moment When Every Stakeholder Becomes Happier"、Frontiers では "Quantifying the Impact of Contagion of Customer (Dis-) Satisfaction" を発表した。いずれも RISTEX のサービス科学プロジェクトの成果である。

前者は、対法人金融サービスを対象に、金融機関、顧客(法人)、従業員のそれぞれの目標(利益、満足等々)の両立可能性を計量的に検証したもの。しかし、分析を精緻化することは当然ながら、今回受けた刺激をもとに、理論的な基礎づけをもっと行う必要があると感じている。

後者は、顧客間でクチコミなどにより満足が伝播した場合、どのような影響が生じるかをシミュレーションしている。聴き手の反応から、マーケティングサイエンス系の学会では風前の灯火のエージェントベースモデルも、サービスサイエンスではまだ可能性があると勇気づけられた。

しかも上述の議論を踏まえれば、そうしたアプローチはますます力を発揮しそうである。実際、その線での先行研究がすでにいくつもある。とまれ、サービスサイエンスないしサービスイノベーションの領域に、想像した以上の可能性があることを知った今回の学会の収穫は大きかった。

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